ドラマ「弱虫ペダル」特集

ドラマ「弱虫ペダル」特集

小越勇輝(小野田坂道役)× 郷本直也(金城真護役)× 馬場良馬(巻島裕介役)座談会

ペダステ初演時の記憶から、高回転(ハイケイデンス)で回すドラマ版の裏側まで

オタク少年の小野田坂道が高校に入学して自転車競技に青春を捧げるさまを描き、大ヒットを記録しているマンガ「弱虫ペダル」。舞台化、アニメ化に続いてついにテレビドラマ化を果たし、この夏BSスカパーにて放送をスタートする。そのメインキャストの過半数は、西田シャトナー演出による舞台「弱虫ペダル」シリーズから引き続いての起用となっており、発表された際は大きな話題を呼んだ(参照:ドラマ「弱虫ペダル」に小越勇輝、鈴木拡樹、馬場良馬ら舞台版キャスト多数)。

ナタリーはドラマの放送開始に先がけ、横断特集を展開。第1弾となるステージナタリーでは、小野田坂道役の小越勇輝、金城真護役の郷本直也、巻島裕介役の馬場良馬による座談会を実施し、舞台版の初演時のエピソードから、ドラマ撮影現場の裏話までをじっくりと語ってもらった。なお8月下旬にはコミックナタリーにて、小越とアニメ「弱虫ペダル」にて坂道役を務める山下大輝との対談を公開するので、こちらも併せて楽しんでほしい。

取材・文 / 岸野恵加
撮影 / 佐藤類

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BSスカパーオリジナル連続ドラマ
「弱虫ペダル」
ドラマ「弱虫ペダル」
2016年8月26日(金)
21:00~ 放送スタート 〈全7話〉
※第1話無料放送
あらすじ

アキバをこよなく愛するオタク高校生の小野田坂道。
運動が大の苦手で高校に入ったらアニメ研究部に入ろうと心に決めていたが、入学と同時に部員不足でアニ研は事実上の廃部状態に!
5人の部員を集めれば部を復活させられる事を知った坂道は、必死に部員集めに奔走する。
そんな中、ひょんなことから出会った今泉俊輔に自転車勝負を申し込まれてしまう。
尻込みする坂道だったが、勝てば今泉もアニ研に入部すると聞きレースに挑む事になる。

概要

原作:渡辺航(秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載中)
監督:棚澤孝義
脚本:吹原幸太 ほか

キャスト

小野田坂道:小越勇輝
今泉俊輔:木村達成
鳴子章吉:深澤大河
金城真護:郷本直也
田所迅:友常勇気
巻島裕介:馬場良馬
手嶋純太:鯨井康介
青八木一:八島諒
古賀公貴:輝馬
杉元照文:平井浩基
寒咲通司:安里勇哉
寒咲幹:桜井美南
橘綾:野口真緒
福富寿一:滝川英治
荒北靖友:鈴木拡樹
東堂尽八:北村諒
新開隼人:宮崎秋人
泉田塔一郎:青木空夢
黒田雪成:秋元龍太朗
真波山岳:植田圭輔
御堂筋翔:林野健志

「舞台『弱虫ペダル』~箱根学園(ハコガク)新世代、始動~」
「舞台『弱虫ペダル』~箱根学園(ハコガク)新世代、始動~」
日程

2016年9月30日(金)~10月2日(日)
東京都 TOKYO DOME CITY HALL

2016年10月7日(金)~10日(月・祝)
大阪府 オリックス劇場

概要

原作:渡辺航(「弱虫ペダル」秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
演出・脚本:西田シャトナー
音楽:manzo

チケット発売:2016年8月27日(土)10:00~

キャスト

葦木場拓斗:東啓介
泉田塔一郎:河原田巧也
黒田雪成:秋元龍太朗
真波山岳:谷水力
銅橋正清:兼崎健太郎
新開悠人:飯山裕太
福富寿一:前田剛史
荒北靖友:木戸邑弥
東堂尽八:佐藤祐吾

手嶋純太:鯨井康介
青八木一:八島諒

新開隼人:宮崎秋人

パズルライダー:一瀬悠、掛川僚太、河野智平、村上渉

Contents Index
» ステージナタリー 小越勇輝×郷本直也×馬場良馬 座談会
» コミックナタリー 小越勇輝×山下大輝 対談

4年ぶりに巻島を演じると知って「5度聞きした」

──ドラマ「弱虫ペダル」は舞台版から引き続いてのキャストが多いということで、今回はその代表としてお三方に集まっていただきました。舞台版はこれまでに8作が上演されていますが、小越さんは近作2作に、郷本さんは2作目「箱根学園篇~眠れる直線鬼~」と8作目「~総北新世代、始動~」以外の6作に、そして馬場さんは初演のみと、それぞれに出演回数や時期が異なっていますね。今回のドラマで馬場さんは、4年ぶりに巻島を演じることになりますが……。

舞台「弱虫ペダル」初演の様子。© 渡辺航(週刊少年チャンピオン)2008 © 渡辺航(週刊少年チャンピオン)/マーベラスAQL、ディー・バイ・エル・クリエイション、イープラス

舞台「弱虫ペダル」初演の様子。© 渡辺航(週刊少年チャンピオン)2008 © 渡辺航(週刊少年チャンピオン)/マーベラスAQL、ディー・バイ・エル・クリエイション、イープラス

馬場良馬 そうなんです。僕から廣瀬(智紀)くんに巻島役をバトンタッチして、舞台の「弱虫ペダル」が続いてきて。世間の方々の中にも「巻島=廣瀬くん」という構図ができていたと思いますし、素敵だなあと思っていたところに、「ドラマになるんだよ。でね、巻島やるから」って聞いて。あのね、人間、驚いたときって、2度聞きじゃ済まないんだなって思いました。

郷本直也 どういうこと、どういうこと?(笑)

馬場 5度聞きくらいした。「……えっ?」「いや、だから、ドラマの『弱虫ペダル』やるらしくて、巻島役のオファー受けたから」「……えっ?ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って」っつって。最初は「いや、無理ですよ!」っていう感じでした。

──どうして「無理」だと思われたんですか?

馬場 巻島は4年ぶりにポンと戻ってきてサクッとできるような役ではない特殊なキャラだし、原作ものでファンの方がたくさんいて、失礼にあたったらイヤだなと思ったし。でも「もうやるから」って言われて現実を受け入れたときに、「また巻島を演じられるんだ」っていう素直な喜びもあって。不思議な気持ちでしたね。クランクイン前のロードレーサーの練習でもまだ実感がなくて、クランクインしてやっと地に足がついたというか。今は120%「この作品に関われてよかった」って思ってますけど、最初は戸惑いが本当に大きかったです。

──廣瀬さんの巻島に馴染んでいたファンの方から、どんな反応が飛んでくるか怖い部分もありますよね。

馬場 あー。そういうのは僕、面白がっちゃうタイプなんで、大丈夫なんですけど。

小越勇輝 (笑)。ドラマ化を最初に聞いたときは、まず「すごいな」って思いました。原作があってのドラマ化や映画化は最近多いですけど、舞台版をやってた人たちが映像でもキャスティングされるっていうのは新しいし、ありがたいことだなって。その反面、原作やアニメのファンの方とか、これまでの舞台のお客さん以外にも観る人が増えるので、そこで自分がどう見られるかとか、いろんなプレッシャーを最初は感じましたね。でも僕は舞台には途中からの参加だったので、イチからまた坂道くんを演じられる、しかも映像で表現できる、っていうワクワクもすごくありました。

小越勇輝

小越勇輝

郷本 僕は舞台の最初のほうから、プロデューサーさんとか制作の方と飲みながら「映画にしたいね」「ドラマにしたいね」って話してたんですよ。

小越 へー。

郷本 でも現実味はあんまりなくて。「映像でもハンドルだけでやるの?」「それはないだろ!」って(笑)。そんな夢のような話が現実になった感覚がありますね。あとこのキャスティングは僕もすごいなと思いました。馬場から廣瀬に替わったり、坂道役も(村井)良大から小越に替わったり、舞台でもメンバー変更はあったし全然受け入れてきたんですけど、今回は現役メンバーに加えて戻ってくる人がいたり、初めて加わる人がいたり、入り混じっていて。後にも先にも、こんなことってそうそうないだろうと思う。

左から郷本直也、小越勇輝、馬場良馬。

左から郷本直也、小越勇輝、馬場良馬。

馬場 そうだよね。キャストが替わるにしても、全員変更とかだったらあるけど。

郷本 うん。初めは複雑な気持ちだったけど、案外始まってみたら、「これもひとつの形なんじゃないか。これでうまいこと成立させられたら、すごく素敵だよな」と考えるようになりました。撮影を重ねて変な違和感もなくなって、今はすごく居心地がいいな、と思います。

ハンドルだけで自転車を表現するって、大丈夫?

──舞台「弱虫ペダル」は今でこそチケットが入手困難な大人気タイトルになっていますが、2012年の初演時、ハンドルのみで自転車を表現するというのは、演る側にとっても観る側にとってもチャレンジングな試みだったと思います。郷本さん、馬場さんは初演を経験していますが、少し当時を振り返っていただけますか?

郷本 ばばりょ(馬場)は、あの頃何かと重なってて超忙しかったんだよね。

馬場 地球守ってた(※馬場は舞台「弱虫ペダル」が2月6日に閉幕したのち、レギュラー出演する特撮ヒーロー番組「特命戦隊ゴーバスターズ」の放送開始を2月26日に控えていた)。

郷本 そうだ!(笑) 地球守んなきゃいけないし、自転車も漕がなきゃいけないしで、すごい状況だったわけですよ。だから稽古に全然いてなくて。手探りな状況で作ってたから、稽古場で急に決まることが多くて、その場にいないと相当不安だったと思うんです。「恋のヒメヒメ☆ぺったんこ」を歌って踊るのも、確か本番の3日前に決まったとかじゃなかったかな。

郷本直也

郷本直也

──ええ! 今やカーテンコールでの定番曲ですが……。

郷本 もう必死で覚えましたね。カンパニーは負けず嫌いな奴が多くて、稽古の後に1人が「自主練してこ」って言ったら全員残って、「ヒメヒメ」を「10回続けてやろう!」ってエンドレスで踊ったり。

馬場 やったやった! 冬だったから、窓ガラスが熱気で真っ白に曇ってた。身体に染み込ませようって、延々と踊って。

郷本 ああでもない、こうでもないって意見を言い合うから、稽古そのものもすごく時間がかかるんですよ。でもみんな、文句言うことはなかったよね。

馬場 一体感はすごくありましたね。「新しいものを作りたい」っていうモチベーションがあったので。

郷本 主演の良大は本編でも歌うことが多かったけど、それも割と直前に決まったり。やることが多くて、てんやわんやだったと思いますよ。

──幕が開くまでは不安でしたか?

馬場 そりゃ、ハンドルだけで自転車表現しろ、って言われたら不安だよね。

郷本 「これ大丈夫?」って思ったよね(笑)。

馬場 お客さんが自転車の存在を想像する上での補助的なアイテムとして、演者はハンドルを持ってるわけですけど、最初はハンドルとタイヤとか、いろんな方法を試したんですよ。結果、(演出家の西田)シャトナーさんが「ハンドルだけでいこう」って。俺は正直「えっ? ハンドルだけで成立すんの? タイヤつけようよ!」って思ったことをすごく覚えてますね。本番でお客さんのリアクションを見るまで、不安はありました。

馬場良馬

馬場良馬

郷本 そうね。たぶん客観的に完成形をイメージできてたのは、シャトナーさん1人だけだったんだよね。照明や音が入るのは小屋に入ってからなので、そこで全体を見て「なるほど、ちゃんと自転車で走ってるように見える」と納得がいった部分もありました。幕が開いてからは、お客さんの反応をSNSとかでも知ることができて、口コミで評判が広がっていったのを客席の変化で如実に感じましたね。

馬場 千秋楽は立ち見が出てたもんね。最初のほうは全然埋まってなかったのに。

郷本 埋まってなかったねえ。全然。

馬場 7割とか、半分くらい。

郷本 「チケット売らんと」とか言ってたけど、公演中は身体と向き合うので精一杯で。

馬場 でも楽しかった。すごく楽しかったので、つらいっていう記憶はあまりないですね。