tricot「3」PR

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“なんでもやれる”3人組のいたってナチュラルな3枚目

tricotが3rdアルバム「3」を完成させた。オーディションで選ばれた4人のドラマーと共に制作された2016年4月発売のCD「KABUKU EP」より約1年ぶりのリリースとなる「3」。今作の新曲はオーディションの参加者であり、現在tricotのライブサポートも務める吉田雄介(Dr)とのセッションによって制作されたという。その結果、バンドのアンサンブルは精度を増し、変拍子とトリッキーな展開を軸にしたtricotの音楽的な個性がさらに際立った作品に仕上がっている。中嶋イッキュウ(Vo, G)のボーカルがナチュラルに響いているのも、このアルバムの大きな魅力だろう。

5月下旬には全47公演の全国ツーマンライブツアーがスタート。中嶋が「今は『なんでもやれる』という気持ち」と話すように、ドラマーを固定し、活動の体制が整った3人に話を聞いた。

取材・文 / 森朋之
撮影 / 草場雄介

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tricot「3」
2017年5月17日発売 / BAKURETSU RECORDS
tricot「3」ミニマルパッケージ盤

ミニマルパッケージ盤 [CD]
1620円 / BKRT-012

Amazon.co.jp

tricot「3」999枚限定デラックス盤

999枚限定デラックス盤 [CD3枚組+グッズ]
4860円 / BKRT-009~11

TOWER RECORDS

ミニマルパッケージ盤 収録曲
  1. TOKYO VAMPIRE HOTEL
  2. WABI-SABI
  3. よそいき
  4. DeDeDe
  5. スキマ
  6. pork side
  7. ポークジンジャー
  8. エコー
  9. 18,19
  10. 南無
  11. MUNASAWAGI
  12. 節約家
  13. メロンソーダ
999枚限定デラックス盤 収録曲

DISC 1

  1. TOKYO VAMPIRE HOTEL
  2. 節約家
  3. よそいき
  4. メロンソーダ

DISC 2

  1. 18,19
  2. WABI-SABI
  3. pork side
  4. ポークジンジャー
  5. 南無

DISC 3

  1. MUNASAWAGI
  2. スキマ
  3. DeDeDe
  4. エコー

吉田雄介を迎えた楽しいレコーディング

──2015年3月発売の「A N D」以来となるフルアルバム「3」が完成しました。前作「KABUKU EP」ではオーディションで選ばれた4人のドラマーが参加しましたが(参照:tricot「KABUKU EP」インタビュー)、「3」の新曲のドラムはすべて吉田雄介さんが叩いてるそうですね。

中嶋イッキュウ(Vo, G) 以前からあった「ポークジンジャー」「節約家」は違うドラマーの方なんですけど、アルバムのために作った曲は全部吉田くんに叩いてもらってますね。「KABUKU EP」に参加してくれた皆さんは全員いいドラマーだったんですけど、最近はライブも吉田くんにお願いしてるし、曲作りも一緒にやってみたいと思って。

キダモティフォ(G, Cho) 「KABUKU EP」のときも感じていたんですけど、ドラマーと一緒にスタジオでセッションすると、すぐに反応が返ってきて。そのほうがやりやすいんですよね。

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ヒロミ・ヒロヒロ(B, Cho) しかも吉田くんはこっちがやりたいことを汲み取って、ちゃんと形にしてくれるんですよ。うまいのはもちろんなんですけど、リズムの幅も広くて。私たちはドラムのことがよくわからないから、「こんな感じで叩いてみて」ってザックリしたことしか言えないんですけど(笑)。

中嶋 分析してくれるんですよね。「このパートではギターはこの位置にいるから、ドラムはもうちょっと後ろにいたほうがいい」とか。リズムの入れ方、ノリみたいなものをちゃんと考えてやってくれるというか。まあ、私はよくわからないから、彼の独り言だと思って聞いてますけど。

ヒロミキダ ハハハハハ(笑)。

中嶋 何を言ってるかは理解できないんだけど、実際に4人で合わせてみると「なるほど」って。

──理論的なこともわかっているんでしょうね、吉田さんは。

中嶋 たぶんそうだよね。

キダ 知らん(笑)。

ヒロミ 理論的なことを言われても、ウチらがわからないですからね(笑)。

中嶋 でも、すごくいい感じだと思います。tricotは変拍子が多いから、ドラマーによっては叩けるようになるのに時間がかかることもあったんですよ。吉田くんは理解も早いし、すぐ叩けるうえに「こうやったらどうですか?」ってさらに広げてくれるんです。だから今回のアルバムの曲作りも「スッ、スッ、スッ」って感じで進んで。

──非常にスムーズだったと。

中嶋 はい。曲を作ってるときのテンションも高かったんですよ。「A N D」のときはガレバン(GarageBand。Appleの音楽制作用ソフト)に向かってる時間が長かったから、制作中の楽しい思い出があまりなくて、「がんばって作った」っていう感じだったんです。今回は楽しくやれましたね。

「これはワケのわからない曲です」とわかりやすく伝えたい

──雰囲気のよさは音源からも伝わってきます。アルバム全体のテーマみたいなものはあったんですか?

中嶋 特にテーマはないんですけど、メロディだったり、歌に対する意識は変わりましたね。「A N D」のときはメロディを付けるのに苦労したんですよ。まずインストを作って、その上に歌を乗せるんですけど、「A N D」は1stアルバム(2013年10月発売の「T H E」)に比べてインスト自体のレベルが上がっていたから、「この曲をもっと広げるために、ポップなメロディを付けよう」って考えすぎてしまって。今「A N D」を聴くと「すごくいいな」と思うんだけど、作っていたときは「これ、ホントにいいのかな?」ってモヤモヤした感じもあったんですよね。今回はそんなことは考えず、いい意味で適当にメロディを付けたんです。「適当にやろう」と意識していたわけではなくて、自然とそうなったんですけどね。そのおかげで、めっちゃ早くできました(笑)。スタジオに入ってインストができて、その日のうちにメロディを乗せたこともあったし。レコーディングの歌録りも楽しかったですね。「これが私だ!」みたいな感じで。

──それ、どういう状態ですか?

中嶋 (笑)。周りを気にしていないということかな。私がいいと感じたメロディを思い切り歌うっていう。曲自体の雰囲気も少しずつ変わってきて、メロディが付けやすかったっていうのもあるし。

中嶋イッキュウ(Vo, G)

中嶋イッキュウ(Vo, G)

ヒロミ いい感じで力を抜くことができたんだと思いますね。今回のアルバムはすごく聴きやすいし、私自身、1曲目から最後まで楽しんで聴けるんですよ。「A N D」はもっと重量感があったから、そこは違ってきてるんだろうなと。それも自然な変化なんです。みんなで「力を抜いてやろう」みたいなことを話したわけではないので。

キダ 私も何も考えずに作ってましたね(笑)。ただ、振り返ってみると「A N D」のときは迷いみたいなものがあったと思います。ギターのフレーズにしてもアレンジにしても「これでいいのかな?」って考えることが多かったので。それに比べると「3」はラフというか、自然な感じでやれてるのかなと。1stアルバムのときの「やったるで!」という感じは今もあるんですけど、もう少しだけ穏やかに、純粋に楽しんでる感じが出てる気がしますね。

──ポップさも増していると思いますが、それも意識してない?

中嶋 「ポップにしよう」という気持ちはなかったんです。無理にポップにするのではなくて、変な曲は変な曲のまま形にしたかったというか。例えば「18,19」みたいに楽器が複雑に絡み合ってる曲は、歌を引き立たせてポップに寄せるよりも「これはワケのわからない曲です」ということをわかりやすく伝えたくて。だからボーカルにもエフェクトをかけたり、ちょっと変わった感じにしてるんですよ。

──楽曲の個性をシンプルに伝えようと。

中嶋 そうですね。以前はぜんぶ歌モノっぽく聞こえるようにしがちやったんですよ。「演奏はいろいろやってるけど、ちゃんと歌は聞こえるんやぞ」みたいな。自分たちもそういうバンドだと思っていたところがあったし、周りの方に「歌がしっかり聞こえるのがいい」と言われることも多かったから。今回はそういうやり方ではないので、だいぶ考え方が変わってるんやと思いますね。