柴田淳「私は幸せ」PR

柴田淳

柴田淳

自分と向き合い、えぐり出した本音

柴田淳が約2年8カ月ぶりとなるニューアルバム「私は幸せ」をリリースする。

負の感情さえも赤裸々にさらけ出したことで、自ら「優しい歌はありません」と言う仕上がりとなった本作。自身の内面とより深く向き合ったことで今まで以上に浮かび上がるリアルな柴田淳の姿に、聴き手はそれぞれ自分の姿を重ね合わせることができるだろう。そこで浮かぶ言葉は果たして「私は幸せ!」なのか「私は幸せ?」なのか。今回音楽ナタリーでは柴田にインタビューし、本作に込めた思いや誕生に至るまでを聞いた。

取材・文 / もりひでゆき
撮影 / 星野耕作

柴田淳「私は幸せ」
2017年9月20日発売 / Victor Entertainment
柴田淳「私は幸せ」初回限定盤

初回限定盤
[CD+フォトブック]
4320円 / VIZL-1208

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柴田淳「私は幸せ」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / VICL-64819

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収録曲
  1. 理由
  2. 両片想い
  3. 手のひらサイズ
  4. 嫌いな女
  5. 容疑者ギタリスト~拝啓、王子様☆第四話~
  6. 誰にも言わない
  7. いくじなし
  8. バースデー
  9. Present

自分の体感的にはあまり時間が経ってない

──オリジナルアルバムのリリース間隔としてはご自身最長になりましたね。

うん。自分としてはその間、燃え尽き症候群と言うか、アーティストとして迷子になっちゃってたかなって感じなんですよ。前作「バビルサの牙」(2014年12月リリース)は気持ち的にどこか無理をして作ったところもあったので、それを出したあとにしばらくマイペースに生きていこうと思って1年くらいお休みをいただくことにしたんです。そうしたらなぜか急にテレビの風が吹いてきて(笑)。

──2015年には「今夜くらべてみました」など、いくつかのテレビ番組に出演されていましたよね。

そうなんです。「日本一暗いシンガー」とかいろいろイジられはしましたけど(笑)、でもそれも柴田淳の音楽を聴いてもらうためのきっかけになればいいと思ったし、いつもとは違った人たちと交流することはメンタルのリハビリ、リフレッシュにすごくなったんですよ。そういう意味で2015年はすごく有意義に過ごせたんですよね。

柴田淳

柴田淳

──その間にはデビュー15周年イヤーに突入、2015年11月にはベストアルバム「All Time Request BEST~しばづくし~」のリリースもありました。16年1月には15周年を記念するライブをパシフィコ横浜で開催されてもいます。そう考えるとあんまりお休みされていた印象もないんですけどね。

でもね、その横浜のライブがけっこう大変だったと言うか。ライブ自体ひさしぶりだったし、関わってくださったスタッフさんがいつもとまったく違っていたから、終わったあとにまたメンタルが潰れてしまったんですよ。で、2016年はそのまま病気の1年になってしまったという。振り返るとホントにいろんなことがあったんで、「2年8カ月ぶりのアルバム」と言われはしますけど、そんなに時間が経ったようには感じていないところもあるんですよね、自分の体感的には。

恨み節みたいな歌ばかりになってしまった(笑)

──そんな中、今回のアルバムはいつ頃から制作を始めたんですか?

1年と思っていたところが結果的には1年半くらい休むことになってしまって、去年の10月から勝手に曲作りを始めたんですよ。「もういい加減、動かなきゃ」と。そうしたら今回はすごくたくさんの曲を書くことができて。

──お、いい状況じゃないですか。

ただ、自分で勝手に曲作りを始めてしまったものだから、その後の制作のスタッフィングが慌ただしくなってしまったところがあって。プリプロやアレンジ、レコーディングという流れにものすごく時間がかかってしまったんです。いつものアルバムならだいたい4カ月くらいで完成するのに、今回は1年近くかかってしまったんですよね。そこでまた私は精神的にも疲れてしまって、結果的に恨み節みたいな歌ばかりになってしまったという(笑)。私はオケを作り終えてから歌詞を書くので、そういった制作でのフラストレーションみたいなものがモロに影響しちゃうんですよ。「くっそー」と思いながら書くから(笑)。しかも今回はいつもとは違うスタジオやマイクを使わざるを得ないところもあったので、歌録りで苦戦したりもして。

──一度レコーディングした歌を録り直したと日記に書かれていましたよね(参照:レコーディング終了 - 柴田淳オフィシャルウェブサイト)。それは柴田さんにとって初めての経験だったとか。

そうなんですよ。いつもと違う環境との相性が悪かったと言うか、自分の本来の歌い方がまったくできなかったんです。アルバムの中に唯一明るいメロディを持つ「両片想い」という曲があって、自分としてはそれをリード曲にしたいと思っていたのに全然うまく歌えなかった。なので頭を下げてもう一度歌わせてもらったんです。歌い直しの環境もいつもと違うものだったので大変さはあったんですけど、そこで出せる今の自分のベストは注ぎ込めたとは思います。

──CDを制作することはリスナーには想像がつかないくらいいろんな要因が絡み合っているものですから。すべての歯車を噛み合わせて回すことはホントに大変なことなんでしょうね。

そう思います。いつもは自分から曲を生み出すことが一番つらい作業だったけど、今回はせっかく曲があるのにスタジオが押さえられないから歌えないとか、そういう部分で時間がかかってしまったのでね。曲として伝えたい思いには鮮度があったりもするので、私の場合は短期集中型でやるのが合ってるんだなって改めて思いました。2度と今回のようなやり方はしたくないので、次はこの教訓をしっかり生かしたいなとは思ってますけど。

──しかし柴田さんのアルバム制作は毎回、なんやかんや大変なことがありますよね。

あははは(笑)。ですよねえ。いろいろあるよなあ。そんな気は自分でもする。だからこうやってインタビューしていただくと、まずは愚痴みたいなことから始まっちゃうんですよね。すみません(笑)。

──いえいえ。今回はたくさんの曲ができたとおっしゃっていましたが、その中からどんな基準で選曲をしていったんでしょう?

選曲はけっこう大変だったんですよ。今回は同じタイミングで曲をガッと作ったので、違う曲であっても「こっちのAメロとこっちのサビは“DNA”が一緒だよね」みたいなことが多くて。全部気に入ってはいるんだけど、1枚のアルバムにするとなるとそういう曲同士は共存できないじゃないですか。

──「この2曲、似てるね」って言われそうですもんね。

そうそう。でも曲を作ってる自分としては客観視できないところもあるから、どうしても迷ってしまうんですよね。自分では、自分がかわいいのかブスなのかわからないっていうのと一緒で(笑)。「こっちを残してよかったんだろうか」って思うことは毎回あるんですけど、今回は特に大変だったような気がします。