長澤知之「Archives #1」PR

長澤知之

長澤知之

生き延びた10年を経て、「音楽で喜ぶ」という原点に立つ

シンガーソングライターの長澤知之が2枚組アンソロジーアルバム「Archives #1」をリリースする。

昨年デビュー10周年を迎えた長澤。そのキャリアを網羅する本作には「あんまり素敵じゃない世界」「バベル」「P.S.S.O.S.」「僕らの輝き」といった代表曲のほか、未発表テイクやライブ音源をたっぷりと収録。さらに「蜘蛛の糸」、長澤が在籍するバンド・ALのメンバーがレコーディングに参加した「R.I.P.」という新曲2曲も収められ、鋭敏な感性と卓越したソングライティング力に裏打ちされた長澤の音楽世界をたっぷりと堪能できる作品に仕上がっている。

音楽ナタリー初登場となる今回は、「Archives #1」の制作について、そして10年間の音楽的変遷や現在の活動スタンスなどについて長澤に話を聞いた。

取材・文 / 森朋之
撮影 / moco.(kilioffice)

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長澤知之「Archives #1」
2017年4月12日発売 / AUGUSTA RECORDS
長澤知之「Archives #1」

[2CD]
3300円 / POCS-1552~3

Amazon.co.jp

DISC 1
  1. あんまり素敵じゃない世界
  2. フラッシュバック瞬き
  3. 夢先案内人
  4. バベル
  5. センチメンタルフリーク
  6. スーパーマーケット・ブルース
  7. STOP THE MUSIC
  8. バニラ(2014 Acoustic)
  9. MEDAMAYAKI
  10. 誰より愛を込めて
  11. 消防車
  12. R.I.P.
  13. マンドラゴラの花
  14. 犬の瞳
  15. 享楽列車(2014 Live)
  16. 三年間
  17. 蜘蛛の糸
DISC 2
  1. P.S.S.O.S.
  2. THE ROLE
  3. JUNKLIFE
  4. 狼青年
  5. 片思い
  6. RED
  7. ねぇ、アリス
  8. 風を待つカーテン(2007 Demo)
  9. EXISTAR
  10. スリーフィンガー
  11. 茜ヶ空
  12. 明日のラストナイト
  13. はぐれ雲けもの道ひとり旅
  14. 回送
  15. ベテルギウス
  16. 僕らの輝き

「10年間、よく生き延びたね」

──「Archives #1」は代表曲、未発表テイク、ライブ音源、新曲などが収録された、長澤さんの10年間を網羅した作品ですね。まず、こういった作品をリリースすることになった理由を教えてもらえますか?

去年がデビュー10周年だったんですけど、いろいろな方に「おめでとう」と言っていただいて。それまでは「10周年についてどう思いますか?」と聞かれてもピンと来てなかったんだけど、みんなに祝ってもらっているうちに「節目の時期なんだな」ということがわかってきたんですよね。「10年間、よく生き延びたね」って言われると自分でも「がんばったな」って思うし。

──「生き延びた」っていう言い方、いいですね。

僕としてはむしろみんなに「10年も一緒にいてくれてありがとう」という感じなんですけどね。数字にあまり意味はないかもしれないけど、みんなが一緒にいてくれて、活動を共にしてくれたのは本当にありがたいなって。そういう時期に「10年間をまとめた作品を作らないか?」という話があって、それに乗っかったということですね。

長澤知之

長澤知之

──なるほど。制作は、まず選曲からですか?

そうですね。自分で選ぶと主観的になりすぎちゃうので、スタッフに客観的な意見をもらいながら。「この曲は入れたほうがいい」とか、曲順のこととか。最初は古い曲から順番に入れていく案もあったんですけど、それだとあまりにも普通だなと思って。「流れを作ったほうがいいよね」という話をしながら決めました。

ジミヘン、ビートルズ、長澤知之

──当然、過去の音源を聴き直す機会でもあったと。

今回も聴き直しましたけど、普段からわりと聴いてるんですよ、自分の曲は。けっこう好きなので。

──昔の自分の曲は聴かないというアーティストもいらっしゃいますけどね。

昔の曲を聴かないのは、そのときの情熱が恥ずかしいからだと思うんです。僕は自己愛が激しいので、あまり恥ずかしくないんですよ。昔の曲を聴いて「このときのレコーディング状況はきつかったな」とか思い出したりもするけど、そういうことを抜きに純粋に曲の世界に入っていけるというか。自分のプレイリストの中にジミ・ヘンドリックスの曲があればThe Beatlesの曲もあるし、長澤知之の曲もあるっていう。こういう言い方をすると、気持ち悪いって思われるかもしれないけど。

──自分自身の曲も常にリアルタイムで聴いているんですね。

そうですね。もちろん飽きて離れる時期もあるんだけど、しばらくすると「『バベル』聴きたいな」って思ったり。普通に曲として好きなんですよ。

──時間の経過と共に聴こえ方が変わってくることもありそうですよね。例えば「犬の瞳」「僕らの輝き」といった初期の曲を今聴くとどう感じますか?

今の自分とは考え方が違うなって思いますけど、もちろん共感できる部分もあるし、一生懸命に生きているところは評価したいなって。まったく違う人間になっているわけではないですからね。

長澤知之

長澤知之

音楽を通して友達が増えた

──考え方が違うというのは、どんなところですか?

あまりオープンではなかったと思います、自分自身が。こういう場所で話ができる心持ちでもなかったし、攻撃的なところもあったので。それでも「がんばって生きてたな」とは思いますけど……って、さっきと同じこと言ってますね(笑)。

──確かに初期の長澤さんの楽曲は自分の心の中に閉じこもっている印象があるし、「おそらく理解されないだろう」という心情も感じられますね。

「わかるはずがない」というほど高飛車ではないですけどね(笑)。それよりも「理解してくれる人がいたらいいな」という感じだったと思います。実際、僕の曲を聴いて「いいね」と言ってくれる人たちによって、心持ちが変わってきたので……ずっと友達がいなかったんですよ。そんな自分に劣等感があったから、自分の人格について「好きだ」って言われても素直に信じられなかった。でも「曲が好き」って言われると頷けるんですよね。音楽を通して友達が増えたのは、すごくありがたいなって思ってます。

──曲に対する評価はそのまま受け取れるんですね。

うん、音楽には自信があるから。自分のことはそんなに好きじゃないけど、自分が作る曲はいいと思いますね。そのおかげで人との関係が広がったし、だいぶ楽になりました。