MONDO GROSSO「何度でも新しく生まれる」PR

MONDO GROSSO

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大沢伸一とbirdが語る、
1990年代の輝きと2017年の喜び

MONDO GROSSOが実に14年ぶりとなるニューアルバム「何度でも新しく生まれる」を完成させた。1990年代に海外のアシッドジャズのムーブメントと呼応したバンドからソロプロジェクトへと変わり、2000年代に入ってからは、ジャズ、ブラジリアン、ハウスなどの要素を持つダンスミュージック的な作風でJ-POPシーンにおいても一時代を築いたMONDO GROSSO。このプロジェクトの再始動は、2017年を象徴する事件の1つだと言っていいだろう。

しかも、「何度でも新しく生まれる」はMONDO GROSSO初の“全曲日本語詞のボーカル曲”で統一された作品。ゲストボーカルはMONDO GROSSOの作品ではおなじみのbirdやUAに加えて、満島ひかり、乃木坂46の齋藤飛鳥、相対性理論のやくしまるえつこといった実に多彩な顔ぶれが並び、若手が多数起用されていることもあって、実にフレッシュな仕上がりとなった。

そこで今回は大沢伸一と、ニューアルバムの幕開けを飾る「TIME」に参加したbirdを迎え、2人にインタビューを実施。大沢のプロデュースによる1999年発表のbirdのデビューアルバム「bird」が高いセールスを記録し、翌年にはMONDO GROSSOの代表曲「LIFE」にbirdが参加するなど縁の深い2人だけに、インタビューの内容は1990年代から現在までを横断する非常に幅広いものとなった。

取材・文 / 金子厚武
撮影 / 草場雄介

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MONDO GROSSO
「何度でも新しく生まれる」
2017年6月7日発売 / cutting edge
MONDO GROSSO「何度でも新しく生まれる」CD+DVD

CD+DVD
3564円 / CTCR-40387/B

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MONDO GROSSO「何度でも新しく生まれる」CD

CD
3024円 / CTCR-40388

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CD収録曲
  1. TIME [Vocal:bird]
  2. 春はトワに目覚める(Ver.2)[Vocal:UA]
  3. ラビリンス(Album Mix)[Vocal:満島ひかり]
  4. 迷子のアストゥルナウタ[Vocal:INO hidefumi]
  5. 惑星タントラ[Vocal:齋藤飛鳥(乃木坂46)]
  6. SOLITARY [Vocal:大和田慧]
  7. ERASER [Vocal:二神アンヌ]
  8. SEE YOU AGAIN [Vocal:Kick a Show]
  9. late night blue [Vocal:YUKA(moumoon)]
  10. GOLD [Vocal:下重かおり]
  11. 応答せよ[Vocal:やくしまるえつこ]
DVD収録内容

Music Video

  • ラビリンス
  • 惑星タントラ
  • SEE YOU AGAIN
  • TIME

90年代のエネルギーや作品クオリティと比べると、今はちょっともったいない

──まずは大沢さんからMONDO GROSSO再始動の経緯を話していただけますか?

大沢 簡単に言うと、「やれ」と言われたから(笑)。もちろんそれはネガティブな意味ではなくて。もともと「もうMONDO GROSSOをやらない」と決めてたわけではないんですけど、エイベックスに移ってからは個人名義での活動にフォーカスしてたので、タイミングを失ってたんです。僕「何周年」とか「何年ぶり」みたいな節目が嫌いなので、そういうことを避けていると、どんどん先延ばしになっちゃうんですよね。MONDO GROSSOを始めてから20年のタイミングで「やりましょう!」ってすごく言われたんですけど、結局そこでもやらずに来て、でも周年とか全然関係ない一昨年の暮れぐらいに、「そろそろ……」みたいなことをスタッフから言われ始めて、「そうかもね」って。なので、やるのがものすごく嫌だったとかではないし、かといって、再始動に特別な理由があったわけでもないんです。だって、「14年ぶり」って中途半端じゃないですか?(笑)

左からbird、大沢伸一。

左からbird、大沢伸一。

──昨年はかつてMONDO GROSSOのマネージャー兼共同プロデューサーだった沖野修也さんプロデュースで「The European Expedition」のリリース20周年を記念したトリビュートライブも行われましたが、それも今回の再始動とは直接関係ないわけですか?

大沢 ないですね。逆に、「来年アルバム出すつもり」って話をしたら気を遣ってくれて、「混乱させちゃうかもしれないから、迷惑ならやめようか?」とも言われたんですけど、それとこれとは別なんで、「やっていいんじゃない?」って伝えてやってもらったぐらいで。まあ、1個だけ年号的に合ってるとすれば、2007年に初めて自分のソロアルバムを出して、そこから10年間、DJとかを個人名義でやってきたので、そういう意味では2017年は区切りの年なんですよね。それも後付けですけど(笑)。

──birdさんはMONDO GROSSOの再始動を聞いてどう思われましたか?

bird いつかまた大沢さんと一緒に音楽をやりたいなって気持ちはずっとあったんですけど、それがいつになるかはわからなかったというか。大沢さんは大沢さんの活動をされてますし、私も私でずっとやってきて、でも、いつかまたつながるときが来るだろうとは思ってたんです。なので今回声をかけていただいて、単純にうれしかったですし、「気合い入れなきゃ」って気持ちにもなりました(笑)。

──資料には、大沢さんの「休止している間、日本の音楽シーンを見たわけですが、90年代に僕らが切り崩そうとしたJ-POPへの野心的な挑戦が滞っているのかなと。であれば、MONDO GROSSOとしてその要素のひとつになりたいと思いました」というコメントがありますね。

大沢 ちょっと驕った言い方に捉えられてしまうかと思うんですけど、でもそれも後付けみたいなことではあるんです。90年代って、あの時代に関わってた人間からするとキラキラ輝いてた黄金期だったんですよ。各時代にそういう時期があると思うんですけど、僕が実際に体感したのは90年代でした。洋楽のものすごいニッチなものを聴いて育った僕みたいな人間が、日本の音楽を心底楽しいと思える時代が来るなんて思ってもいなかったんですよね。そのときのみんなのエネルギーとか作品のクオリティと比べると、今はちょっともったいないというか。少なくとも僕はそこまで楽しめていないので、だったら楽しめる要素を自分で出していかないと。文句を言ってるだけならただの歳とったおっさんなんで、面白いシーンの一部にでもなれたらって気持ちは当然あります。

──そこは今回MONDO GROSSOを再始動させるうえでのチャレンジだったと。

大沢 そうですね。90年代で言うと、僕にとってbirdのプロデュースをやらせてもらうことはすごいチャレンジだったんです。「じゃあ、2017年にやるべきことは何か」って考えると、90年代と同じようにアーティストをローンチするには、今の音楽マーケットを取り巻く環境って、ものすごく向かい風なんですよね。だとすれば、MONDO GROSSOっていう僕のホームグラウンドの中にいろんなものを引き込んで、アウトプットするっていうのが自然な形かなって。MONDO GROSSOってもともと、いろんなものを吸収して1つの中に閉じ込めるっていうプロジェクトでしたからね。

大沢伸一

大沢伸一

わけがわからないまま、渦に巻き込まれていたんですよ

──birdさんは1990年代という時代をどのように捉えていらっしゃいますか?

bird 私は大沢さんと出会ったことがきっかけでデビューして、何もわからないままスタートしたので、まずは一生懸命歌って、歌詞を書いてっていう、それにまっしぐらだったんですよ。なので「こういうことをやろう」って思っていたというよりは、自分の中ではすべてが新しかったんです。学生時代はずっとバンドをやっていて、クラブとかも行ったことなかったですし、ホントに全部が新鮮で、たまたまそういう経験をさせてもらったのが90年代だったっていう感じなんですよね。ただ、いろんな歌い手さんがシーンの中にいらっしゃって、活気があったというか、「みんなで一緒に盛り上げるぞ」みたいな雰囲気があったのは事実だと思います。渋谷のTHE ROOMとかで、大沢さんが作った新しい曲をどんどんかけて、そこから発信していくっていう、そういうシーンはありましたね。

bird

bird

大沢 DATでかけてたもんね(笑)。

bird できたてをすぐかけて、それをお客さんが聴いて踊るっていう、そういうのはすごいなって思ってました。

──日本に新しい音楽文化が生まれた時期だったのは間違いないかなと。

大沢 まあ、それってやっぱり振り返ってみてわかることで、当時は僕もプロデューサーと言いながら何かをプロデュースしていたわけではなく、ホントわけわかんないまま毎日音楽を作ってたんですよ。スケジュールもめちゃくちゃでしたもん(笑)。「すごいことになってるよ」って言われても、実感も湧かないし。毎日夜な夜ないろんなところに行って、いろんな音楽を作って、かけて……でも、今思うとそれはものすごくぜいたくな時間で、わけもわからないままものすごい状況の中に存在させてもらえたっていうのはラッキーでしたね。

──大沢さんがプロデュースした1999年のbirdさんのアルバム「bird」や、birdさんが「LIFE」に参加した2000年のMONDO GROSSOのアルバム「MG4」は、そういう熱気の中から生まれた作品だったと。

大沢 そうですね。自分で意識して作った部分は、謙虚に言うと20%、贔屓目に言っても4割に満たないと思います。ホントに何となく、「これ好きだな」とか「これやってみたいな」ってことをどんどんやっていっただけで、明確なコンセプトがあったわけではないんです。もちろん、日夜いろんな人と会って、「birdはこうあるべき」「MONDO GROSSOはこうあるべき」みたいな話はしたけど、実際にそれを作品に落とし込んで出してたなんて言ったら嘘ですね。わけがわからないまま、渦に巻き込まれていたんですよ。