まらしぃ「Vocalo Piano ~marasy vocaloid songs cover on piano~」PR

初音ミクの10年~彼女が見せた新しい景色~
まらしぃ×kemu対談

まらしぃ×kemu

演奏することを想定していないボカロ曲を弾く方法

まらしぃのニューアルバム「Vocalo Piano ~marasy vocaloid songs cover on piano~」が9月27日にリリースされる。

今年4月に2枚組のオリジナルアルバム「PiaNoFace」を発表したばかりのまらしぃだが、今作では自ら選曲したVocaloid楽曲をグランドピアノで生演奏。DECO*27「ゴーストルール」、バルーン「シャルル」、ナユタン星人「エイリアンエイリアン」といった近年のヒット曲のカバーを中心に、黒うさ「千本桜」、ハチ「マトリョシカ」といった自身の過去作に収録されているカバー曲の新録バージョンを加えた全16曲が収録されている。

その中でも注目の1曲と言えるのが、今年6月にPENGUIN RESEARCHのベーシスト兼コンポーザーである堀江晶太が4年ぶりにkemu名義で発表した新曲「拝啓ドッペルゲンガー」のカバー。まらしぃとkemuの2人は、実はまらしぃが初投稿して間もない頃からの知り合いであり、今回のカバー収録はお互いにとっても念願のものとなった。そこで音楽ナタリーでは2人の対談を企画。ボカロ楽曲の作り手として、あるいは「演奏してみた」カテゴリーで人気のピアニストとして、ボカロカルチャーに深く関わってきた両者に語ってもらった。

取材・文 / 北野創
撮影 / 小坂茂雄

まらしぃ「Vocalo Piano ~marasy vocaloid songs cover on piano~
2017年9月27日発売 / Subcul-rise Record
まらしぃ「Vocalo Piano Vocalo Piano ~marasy vocaloid songs cover on piano~」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
2500円 / SCGA-00063~4

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まらしぃ「Vocalo Piano Vocalo Piano ~marasy vocaloid songs cover on piano~」通常盤

通常盤 [CD]
2300円 / SCGA-00065

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CD収録曲
  1. 拝啓ドッペルゲンガー(kemu)
  2. ゴーストルール(DECO*27)
  3. cat's dance(marasy)
  4. シャルル(バルーン)
  5. セツナトリップ(Last Note.)
  6. ウミユリ海底譚(n-buna)
  7. エイリアンエイリアン(ナユタン星人)
  8. 脳漿炸裂ガール(れるりり)
  9. ロストワンの号哭(Neru)
  10. アスノヨゾラ哨戒班(Orangestar)
  11. Hello, Worker(KEI)
  12. 心做し(蝶々P)
  13. チルドレンレコード(じん)

~Million Anniversary Track~

  1. マトリョシカ(ハチ)
  2. 六兆年と一夜物語(kemu)
  3. 千本桜(黒うさ)
初回限定盤DVD収録内容

まらしぃStudio Live

  1. 千本桜
  2. 相思創愛

kemuさんは僕の家のピアノを僕以外で演奏した唯一の人

──お二人の交友関係はいつ頃に始まったのでしょうか?

まらしぃ けっこうフワッとしてて、付き合い自体はわりと古いんですけど、直接会うのはたぶん5回目ぐらいだよね?

kemu そうだね。もともとお互いのことを認知してはいたものの、インターネットで活動していた時期やフィールドが違っていたので、一緒にライブやイベントに出演したことはなくて。

左からkemu、まらしぃ。

左からkemu、まらしぃ。

まらしぃ 彼の地元は岐阜で、僕は名古屋に住んでるので、5、6年ぐらい前に動画サイトの共通の知り合いとオフ会みたいなものをやって、そのときに初めて出会ったんですよ。

kemu みんなで一緒にスタジオに入って楽器を演奏して遊んだんですけど、そこで初めて挨拶して。それで会ったその日に彼の実家に泊まりに行って、居間のこたつで寝ました。あのときは朝まで桃鉄(「桃太郎電鉄」)で遊んだなあ。

まらしぃ そうそう(笑)。僕の家にある茶色のピアノを、僕以外で演奏した唯一の人なんですよ。

kemu 一緒に連弾したもんね。

まらしぃ いつか連弾の動画撮りたいよね。

kemu ちゃんと練習しないと無理だけど(笑)。でも、そのときからいつか一緒に何かできたらとは言ってたんですよ。それが今回、彼のアルバムの中で念願が叶ってうれしいですね。

アルバム制作中に「拝啓ドッペルゲンガー」が投稿されて

──そのまらしぃさんのニューアルバム「Vocalo Piano ~marasy vocaloid songs cover on piano~」ですが、ソロ作としては2012年に発売された「V-box」以来約5年ぶりのボカロカバー集になります。

まらしぃ 僕はもともとボカロ曲や初音ミクさんが好きなので、前にカバー集をやらせてもらったときはすごくうれしくて、それからも「またやりたい」と言い続けていたんですよ。自分のほかの活動やいろいろなタイミングの問題があって、5年も空いてしまったんですけど。今回はその間に出てきた素敵な曲だったり、前回は演奏できなかった曲、僕の中で思い入れのある楽曲を選曲させていただきました。

──今年は初音ミクの誕生10周年になりますが、そこを意識したりは?

まらしぃ 意識した……って言いたいんですけど、実はあまり意識してなくて。あとから「あっ、いいタイミング!」って思いました(笑)。

──そのアルバムの1曲目に収められているのが、先日kemuさんが4年ぶりに発表された新曲「拝啓ドッペルゲンガー」のカバーになります。

まらしぃ 実を言うとこの曲をアルバムに入れる予定はなかったんです。ちょうど制作期間中にこの曲の動画が投稿されたので、ひさびさに彼に連絡したんですよ。で、そのあとに一緒にごはんを食べにいって、そこでアルバムを作っている話をしたら、彼がいろいろ上手にやってくださいまして(笑)、収録できる運びになりました。

kemu

kemu

kemu 別に何もしてないから(笑)。そう言えばごはんのあとにゲーセンにも連れて行かれて。最初に会った日にもゲーセンに行ったんですけど、彼はいつもUFOキャッチャーをやってるんですよ。

まらしぃ 好きなんですよね。「太鼓の達人」もkemuさんの曲が入ってるから一緒にやったんですけど、2人共クリアできなくて(笑)。

kemu 難易度を一番高くしたらまったくできなかった。しかも俺のほうがスコアが低いっていう。

まらしぃくんはクラシックの人が絶対にやってはいけないことをやる

──まらしぃさんは「拝啓ドッペルゲンガー」の「弾いてみた」動画もアップされてましたね。

まらしぃ そうそう、その動画を投稿したときにkemuさんにも観てほしくて連絡したんですよ。そしたら最初にきた感想が、ピアノの上に置いてあるフィギュアの数の話で(笑)。

kemu 昔から多かったね。まらしぃくんのピアノは面白くて、クラシック出身の技巧は感じるんですけど、クラシック1本で演奏してる人が絶対にやってはいけないことをやるタイプなんですよ。手のフォームとか、鍵盤を弾くときの重心の持っていき方とか、クラシックをやっている人からするとご法度なことをたくさんしていて。

まらしぃ ハハハ(笑)。

kemu だけどそこが面白いんですよね。ルーツを重んじたプレイスタイルと、完全に自分で考えたであろうメチャクチャな弾き方をブレンドした、ほかにあまりいないタイプなので。(指を真っ直ぐ伸ばして弾くフリをしながら)よくこんな弾き方できるよね。普通ピアノは指に丸みを持たせて弾くんですよ。指を伸ばすのは絶対にダメな弾き方で。

まらしぃ

まらしぃ

まらしぃ ピアノの先生に怒られるやつですね(笑)。

kemu でも前に話してたけど、この弾き方には理由があるんだよね。ボカロとかアニソンみたいにスピードのある曲とか、もともとピアノで弾くことを想定してない曲を弾く場合はこのほうがいいとか。

まらしぃ 確かに指を丸めると美しい音になるんですけど、曲が速いと指が鍵盤に接する面積が小さすぎてあまりうまくいかないので、指をバッと伸ばしてそのどこかに当たればいいということで、あの弾き方を始めたんです。でもそれだとあまりいい音を出せないので、少しずつ改良していったら、最終的に力をこのへん(手のひらの指の付け根あたり)にだけ入れて、そこから先は力を入れないほうが弾きやすいと気付いて。

──斬新なスタイルですね。

まらしぃ 僕は中学校に入るぐらいまではクラシックをやっていて、それこそ国内外のクラシックのコンクールで入賞したような先生に付いていた時期もあって。

kemu 実家に行ったら壁にものすごく華々しい賞状とか貼ってましたよ。

まらしぃ 昔はすごかったんですよ(笑)。で、もろもろあって一旦辞めてから、大学に入ってひさしぶりにまた弾き始めたので、ブランクもあって弾き方が変になってるんだと思います。そこからどうやって速い曲を弾けるようになるのかいろいろ試行錯誤して。普通のピアニストは指の腹のところで弾くことが多いんですけど、僕はここ(指の第二関節の側面)にタコができてるんですよ。

まらしぃ

まらしぃ

kemu そこにできるのはおかしいよね(笑)。

まらしぃ だから、あまりお子さんにはマネしていただきたくないです(笑)。