9mm Parabellum Bullet「BABEL」PR

9mm Parabellum Bullet

9mm Parabellum Bullet

困難跳ね返す最高傑作を菅原卓郎が全曲解説

昨年11月に滝善充(G)が左腕の不調により期限を決めずにライブ活動を休止することを発表した9mm Parabellum Bullet。しかしそれでもバンドは前だけを向いている。そのことを完璧に表明するようなニューアルバム「BABEL」が完成した。全曲の作曲を滝が、作詞を菅原卓郎(Vo, G)が手がけている。全10曲、「これぞ9mm!」と快哉を叫びたくなる楽曲のみで構築された本作は、改めてこのバンドの比類なきロックミュージック像を広く知らしめることになるだろう。音楽ナタリーでは菅原にインタビューを実施。全曲解説をメインに、本作が完成するまでの道のりと今後の展望についても語ってもらった。

取材・文 / 三宅正一(ONBU)
撮影 / 西槇太一

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9mm Parabellum Bullet「BABEL」
2017年5月10日発売 / TRIAD / Sazanga Records
9mm Parabellum Bullet「BABEL」初回限定盤Special Edition

初回限定盤Special Edition [CD+DVD+スコアブック]
6999円 / COZP-1326~8

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9mm Parabellum Bullet「BABEL」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
3600円 / COZP-1308~9

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9mm Parabellum Bullet「BABEL」通常盤

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2800円 / COCP-39909

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9mm Parabellum Bullet「BABEL」アナログ盤

アナログ盤 [アナログ+ダウンロードカード]
3600円 / COZA-1320~1

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収録曲(共通仕様)
  1. ロング・グッドバイ
  2. Story of Glory
  3. I.C.R.A
  4. ガラスの街のアリス
  5. 眠り姫
  6. 火の鳥
  7. Everyone is fighting on this stage of lonely
  8. バベルのこどもたち
  9. ホワイトアウト
  10. それから
初回限定盤DVD収録内容
  • 「TOUR 2016 "太陽が欲しいだけ"」16.11.05 At 豊洲PIT
  • ボーナストラック「BABEL」レコーディング風景
9mm Parabellum Bullet「サクリファイス」
2017年6月7日発売 / TRIAD / Sazanga Records
9mm Parabellum Bullet「サクリファイス」

[CD]
1620円 / GNCA-0498

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収録曲
  1. サクリファイス
  2. 午後の鳥籠
  3. インフェルノ Live Track From TOUR 2016 "太陽が欲しいだけ" 16.10.30 at Zepp Namba

こういう状況だからこそレコーディングしたい

──ニューアルバム「BABEL」は「これぞ9mmの真髄である」と言っても差し支えない作品だと思います。卓郎くんも手応えを強く感じているのではないでしょうか。

そうですね。「最高傑作だ」という手応えを感じてます。「すごいアルバムを作り上げた」という気持ちはメンバーみんな同じだと思います。自分たちがレコーディング中に感じていた完成型の予想よりも2段も3段も上にいっていると言うか。

──それほどのアルバムができた一番の要因はどこにあると思いますか?

去年の11月に滝がライブ活動を休むことになって、今後自分たちがどうなっていくかわからない不安を抱えている中で、それでもアルバムを作るんだったらものすごくいい作品にしないと余計にファンのみんなが心配すると思ったんですね。周りのミュージシャン仲間も心配して気を遣ってくれていて、そういうものをいい意味で覆すような強度のあるアルバムを作りたいってずっと考えていました。

菅原卓郎(Vo, G)

菅原卓郎(Vo, G)

──それでも滝くんがレコーディングでギターを弾けるのかという危惧もあったんじゃないですか?

「滝がレコーディングできるのか」という心配はもちろんありましたけど、実際滝はギターをばりばり弾けるんですよ。だけど、まだライブは、特に長時間となるとできない。滝自身も自分の状態について把握できていないところもあったろうし……でも俺は「とにかくレコーディングしようよ」と言い続けたんです。

──卓郎くんが率先して提言していたんですか?

ミーティングがあるときは「こういう状況だからこそレコーディングしたい」ということを言ってましたね。滝も作る気満々だったし。

──実際に滝くんはライブ活動を休んでから曲を量産していたんですよね? 

そうなんですよ。滝は前作「Waltz on Life Line」の頃がすごくスランプだったみたいで。

──それで6thアルバム「Waltz on Life Line」はメンバー4人で曲を作った(参照:9mm Parabellum Bullet「Waltz on Life Line」インタビュー)。

でも滝は、前作を録り終えて「インフェルノ」という曲を書いた頃から完全にスランプを脱したんですね。そのあとはもう、滝から次々に曲が生まれて。フラストレーションというか、「前作で出し切れなかったものを形にするんだ」という気持ちが強かったみたいで。さらにツアーで思うようなパフォーマンスができないことも重なって、どんどん作曲に力を注ぐようになっていったんです。でも、それは無闇な感じではないですよ。滝は「とにかくヘビーでダークなトーンのアルバムを作りたい」ということを最初から言っていて。デモ自体は100曲以上ありました。

──すごいな(笑)。

すごいですよね(笑)。今までだったら「そんなにデモがあるんだったらバラエティに富んだカラフルなアルバムにしよう」ってなりがちでしたけど、「BABEL」はトーンが近い曲を滝とディレクターが10曲選んで。俺たちはそれを聴いて「なるほど、この10曲でいくんですね」と理解したという流れでした。

菅原卓郎(Vo, G)

菅原卓郎(Vo, G)

──言い方が難しいですけど、滝くんはライブ活動を休止したからこそ曲作りに集中し、その結果1曲ごとの精度が高くなったというのは間違いないでしょうね。

そうですね。アルバムについて詰めて考える時間はいっぱいあっただろうから。「アルバムのことしか考えられません」というモードになっていたし。レコーディングってまさに記録なわけだから、バンドがタフな状況下で作った作品を世に出すことで、後々自分たちに返ってくるものがあるはずだと思えたんですよね。

今だったらバンドや自分のことを歌詞にできる

──ダークなアルバムを作るということも踏まえて、卓郎くんは滝くんから上がってきた曲に歌詞を付ける際にどんなことを意識したのかなって。最近はいつ日本が戦争に巻き込まれてもおかしくないという緊迫したニュースが毎日流れていて、3.11以降の日本にも思うことだけれど、もはや終末の向こう側の世界を生きているような感覚を覚えてる人は少なくないと思うんですね。

うん、わかります。

──卓郎くんが「BABEL」で描いている歌詞の世界はそういう感覚にもリンクするところがあるなと思ったんです。

もちろん、一市民としてはこのままだと戦争が起きかねないとか、日本がどんどんおかしな国になってしまっているぞと感じていますよ。でも、今回歌詞を書くうえでダークなトーンを出すために意識したのは内面の世界というか、バンドのことを書こうということで。

菅原卓郎(Vo, G)

菅原卓郎(Vo, G)

──ああ、2曲目「Story of Glory」はまさにそういう曲だし、ラストの「それから」の歌詞は滝くんへのエールのようにも聞こえました。

そうですね。明らかにバンドのことを書いてる歌詞もあるし、バンドのことを置き換えてストーリーを描いている歌詞もあって。あと、最初に歌詞のモチーフとなるイメージが書かれたメモを滝が送ってくれたんです。例えば1曲目の「ロング・グッドバイ」だったら「現代の若者の暴力的なエネルギー」とか。「10曲並べたときに時代の流れを感じる歌詞にしてほしい」ということも書いてありましたね。途中から「ここからは適当です」と書いてあったりもしたんですけど(笑)、そのメモにはかなり助けられました。これは、滝と話を示し合わせてはいないんですけど、俺自身はワントーンで歌詞を書くために思い描いたのが手塚治虫の作品だったんですよね。それこそ、実際に曲名にした「火の鳥」しかり。「火の鳥」も滝とイメージが完全に一致してたんですよ。手塚治虫の作品って同じ顔をした人たちが作品によって違うストーリーを生きていますよね。全体的にそういうイメージがありました。

──それって、ちょっとパラレルワールドにも近い感じなのかな。

そうですね。だからストーリーの状況設定が違えば、描いてる話は同じでもいいやという気持ちで歌詞を書いていって。今までだったら、歌詞の中にほかの曲と同じようなワードが出てきたら排除していたところがあったんだけど、それもあまり気にせずに。

菅原卓郎(Vo, G)

菅原卓郎(Vo, G)

──印象的だったのは「歌う」という歌詞が度々登場することで。

そうですね。しかもサビのいいところで出てきたりね。いつもなら「ほかの曲のサビでも『歌う』って言ってるじゃん」って自分で検閲していたんですけど、今回は、それはむしろいいことだと捉えました。そして、今のバンドのことをダークな世界を通して反映させていこうと。この状況でアルバムを作るんだったら、それしかないと思ったんです。

──今まではバンドや自分自身の心情を歌詞に反映させることって、どこかで避けてましたよね?

そう。自分の人生ってそんなに歌詞にするほど面白くないという考え方があったんですけど、バンドを続けてメジャーで10年が経って、去年9年目に大きなアクシデントに直面して。あとは自分たちで事務所を立ち上げたり、レーベルを作ったりして、それって十分面白い人生じゃんと思って。俺個人で言えば、子供ができたことも大きい。子供を通して世界そのものが愛おしく見えることがあるんですよ。人の営みというかね。だから、今だったらバンドのことや自分のことを歌詞に反映できるはずだと思ったんです。それを直接的に書くかどうかは別にして、全曲、自分の人生から引っ張ってきた感情を歌詞に込めようと思いました。

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