映画「夜明け告げるルーのうた」PR

「夜明け告げるルーのうた」湯浅政明×高杉真宙

「夜明け告げるルーのうた」
湯浅政明×高杉真宙

みんなが会いたくなるキャラクターの誕生!人魚と人間によるボーイミーツガール

監督デビュー作「マインド・ゲーム」が国内外で高く評価され、その後もテレビアニメ「四畳半神話大系」「ピンポン THE ANIMATION」など独創的な作品を作り上げてきた湯浅政明。そんな彼のオリジナル劇場アニメーション「夜明け告げるルーのうた」が5月19日に全国公開される。心を閉ざした少年カイが、人魚の少女ルーとの出会いによって変わっていく姿が、フラッシュアニメーションによる大胆な動きや極端なパース、ビビッドな色彩を通して描き出されている。キャストには谷花音、下田翔大、篠原信一、柄本明、斉藤壮馬、寿美菜子らが並ぶ。

映画ナタリーは、大のアニメ好きとして知られる俳優の高杉真宙と湯浅による対談をセッティング。物語やアニメーション表現の魅力、キャラクターへのシンパシー、作品に込めた思いなどについて語ってもらった。またキャラクター紹介ページではキャラクター原案を手がけたマンガ家ねむようこによる原画を公開。あわせて、ねむやキャラクターデザイン・作画監督の伊東伸高から登場人物を生み出すうえで心がけた点や注目してほしいポイントなどについてコメントも届いた。

取材・文 / 伊東弘剛
撮影 / 笹森健一

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「夜明け告げるルーのうた」
2017年5月19日(金)全国ロードショー
「夜明け告げるルーのうた」
ストーリー

中学生の少年カイは、寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)で父親と祖父との3人暮らし。両親の離婚によって東京から父と母の故郷に引っ越してきたカイは、鬱屈した気持ちを抱え自分の殻に閉じこもっていた。そんなある日、カイはクラスメイトの遊歩と国夫に彼らが組んでいるバンド・セイレーンのメンバーに誘われる。しぶしぶ練習場所の人魚島に行ったカイは、不思議な歌声を聞き、その声に惹かれる。その夜、自宅に帰ったカイは水を操る人魚の少女ルーと出会う。楽しそうに歌い、無邪気に踊り、自分の思いを正直に話すルーと一緒に過ごすことで、少しずつ自分の気持ちを口に出せるようになっていくカイ。しかし、あるきっかけからルーと町の人たちとの間に大きな溝が生まれてしまい……。

スタッフ

脚本・監督:湯浅政明
キャラクター原案:ねむようこ
キャラクターデザイン・作画監督:伊東伸高
共同脚本:吉田玲子
音楽:村松崇継
主題歌:斉藤和義「歌うたいのバラッド」(SPEEDSTAR RECORDS)

キャスト

ルー:谷花音
カイ:下田翔大
ルーのパパ:篠原信一
遊歩:寿美菜子
国夫:斉藤壮馬
カイの祖父:柄本明

こんなことがアニメーションでできるんだ!(高杉)

──高杉さんは以前から湯浅監督の作品をご覧になっていたんですか?

高杉真宙 いろいろと拝見しています。特に「四畳半神話大系」(以下「四畳半」)が好きで、どうなっていくのか展開が読めない物語に引き込まれました。実写映像の使用によってリアルが入り交じった不思議な世界に、こんなことがアニメーションでできるんだ!と衝撃を受けました。

左から湯浅政明、高杉真宙。

左から湯浅政明、高杉真宙。

湯浅政明 4月に公開された「夜は短し歩けよ乙女」(以下「乙女」)はご覧いただけましたか?

高杉 観に行きました! 「四畳半」と似ているキャラクターがたくさん出てきて、どういうふうにつながっているのかなって想像を膨らませながら観てました。色彩も素敵でしたし、乙女がお酒を飲むときの描き方とか印象に残っています。

湯浅 ありがとうございます。

高杉 最新作の「夜明け告げるルーのうた」(以下「ルー」)は、ファンタジーなのにリアルな部分がたくさんある作品だと思いました。あと光が印象的で、写真のようでもあり絵画のようでもある色合いが魅力的でした。

社会に対しても意義のあるテーマ(湯浅)

──特に気に入ったキャラクターは誰ですか?

高杉 カイです。「好き」と言う気持ちを素直に言えないカイの心情がすごくわかって。昔からアニメが好きなんですけど、中学生のときは「好きだ」って正面向いて言えなかったんです。

高杉真宙

高杉真宙

湯浅 それはオタクっぽく見られるのが嫌だったの?

高杉 そうです。それでその気持ちを言えなくて、ふさぎ込んでしまう時期があって。だからカイと自分が重なりました。中学生の頃ってそういうふうに感情を溜め込んでしまう時期だと思いますし、誰もが共感できるんじゃないかなと思います。

湯浅 この作品は「オリジナルをやりましょう」というお話をもらってスタートしたんです。持っていた企画を何人かで煮詰めていくような形で作って。初めからボーイミーツガール、異世界の少女と少年が出会うという話だったんですが、具体的にしていく中で今高杉さんが言ってくれたようなテーマが出てきました。

高杉 展開が速いんですけど、キャラクターたちに共感できるから気持ちよく物語に乗れました。

湯浅 昨今、自分が好きなものを「好き」って正直に言えない空気があるなと思っていたんです。人に合わせなくてはいけないような空気がある中で、正直な思いを言えない少年や町の人々が生まれていきました。観客の方々だけではなく、社会に向けてもこのテーマで作ることに意義があるのではないかと考えています。

高杉 カイがルーと出会って自分の世界を広げていくのを見ていてうらやましかったです。僕はルーと出会えなかったので(笑)。

王道の長編アニメーションを目指した(湯浅)

高杉 好きな作品を挙げてほしいと言われたとき、この作品で脚本を担当されている吉田玲子さんの「けいおん!」シリーズをよく挙げるんです。キャラクターの1人ひとりがすごく魅力的で、予想外の形でつながっていくストーリーに魅力を感じていて。

湯浅 僕、本郷みつる監督の作品に参加することが多かったんです。それで本郷監督と吉田さんが組まれたテレビアニメ「カスミン」の脚本を読んで面白いなあと思ったんです。けっこう前の作品(2001~2003年放送)で、吉田さんが初めてシリーズ構成を担当したものだとご本人から聞いたんですけど、それを読んだときからチャンスがあれば吉田さんと仕事がしたいと思っていたんです。もちろんその後のご活躍も見ていました。

湯浅政明

湯浅政明

高杉 その希望が叶った作品なんですね。「ルー」ではおじいちゃんの話が衝撃的でした。あとルーは幸せだったのかなって考えさせられて。胸に残るものがあるのも吉田さんの脚本ならではなのかなと思いましたね。

湯浅 そうですね……ルーは思いを遂げられたんで、その意味ではハッピーなんだと思います。少し話が変わるんですが、盲導犬って何を考えているんだろうと気になっている時期があって。彼らは人のために働くことに喜びを感じているのか、それともしつけられたから人間のために働いているように見えるだけなのか、僕にはわからないなと思って。その感じをルーに重ね合わせている部分もあります。

──ワン魚に変身する保護センターに集められた犬たちも、そういう思いから出てきたんですか?

湯浅 はい。ワン魚たちは人間が好きなんだけど、こちらの都合で捨てられた存在なんですよね。あと今回は王道の長編アニメーションを目指しました。僕の作品はドラッギーでハイテンションだとか、人を選ぶとか言われてきたので(笑)、みんなが素直に観やすいもの、漫画映画らしい作品にしたいなと思って作りました。画の観やすさも意識しましたね。

「夜明け告げるルーのうた」より。

「夜明け告げるルーのうた」より。

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