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「ダンケルク」市川紗椰インタビュー

「ダンケルク」
市川紗椰インタビュー

まばたきできないくらいずっとハラハラ、誰もが感情移入できる濃密な物語

クリストファー・ノーランの監督最新作「ダンケルク」が、9月9日に公開される。本作は、第2次世界大戦時のフランス・ダンケルクを舞台にしたタイムサスペンス。ドイツ軍に包囲された英仏連合軍の兵士40万人をめぐる史上最大の救出作戦が、陸海空3つの視点で切り取られていく。

ナタリーでは映画、コミックの2ジャンルで「ダンケルク」の魅力を紐解く特集を展開している。第3弾となる今回は、モデルとして活躍する市川紗椰にインタビューを実施。題材となった史実をもともと知っていたという市川に、本作の魅力や作品から受け取ったメッセージなどを語ってもらった。

取材・文 / 秋葉萌実
撮影 / 佐藤類
ヘアメイク / 千葉万理子(Permanent)

「ダンケルク」
2017年9月9日(土)全国公開
「ダンケルク」

1940年、海の町ダンケルク。イギリス軍はフランス軍とともにドイツ軍に圧倒され、英仏連合軍40万の兵士は、ドーバー海峡を臨むこの地に追い詰められた。陸海空からいつ始まるかわからない敵襲を前に、撤退を決断する。民間船も救助に乗り出し、エアフォースが空からの援護に駆る。爆撃される陸・海・空、3つの時間。走るか、潜むか。前か、後ろか。1秒ごとに神経が研ぎ澄まされていく。果たして若き兵士トミーは、絶体絶命の地ダンケルクから生き抜くことができるのか!?

「史上最大の救出作戦」と呼ばれたダンケルク作戦に、常に本物を目指すクリストファー・ノーランが挑んだ。デジタルもCGも極力使わず、本物のスピットファイア戦闘機を飛ばしてノーランが狙ったのは「観客をダンケルクの戦場に引きずり込み、360°全方位から迫る究極の映像体験」!

スタッフ / キャスト

監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
音楽:ハンス・ジマー
出演:トム・ハーディ、マーク・ライランス、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、ハリー・スタイルズ(ワン・ダイレクション)、フィン・ホワイトヘッド

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ノーラン監督作品の中では一番好き!

──まず「ダンケルク」をご覧になった感想から伺えればと思います。

想像を超えた作品で、圧倒されました! 作品の世界に入り込める要素がたくさんあって、当時ダンケルクにいた人たちの思いが画面を通して伝わってくる気がしました。音が鳴るたびに飛び上がる方が隣に座っていたので、自然と4DX感があったんですけど(笑)。でもそうなる人もすごく多いと思います。

市川紗椰

市川紗椰

──ノーランの監督作は過去にどの作品をご覧になっていますか?

「メメント」「ダークナイト」「ダークナイト ライジング」「インターステラー」は観ていました。

──これまでの監督作を観た際の印象と比べて、今回新しいと感じた点がありましたら教えてください。

時間や記憶の扱い方など、似たテーマはいくつか出てきましたが、描き方が新しいなと思いました。あとは時系列が異なることが一番最初に字幕で出ますよね。今までだったら観ている途中で「こういうことなんだ!」と気付きましたが、今回は最初に親切に教えてくれて、それも新しいなと(笑)。最終的にそれぞれのストーリーが結び付くことがわかっていながらも、知らないで観ているのと同じくらい楽しめました。実話だからこそ、よりノーランの世界に入っている感じになれたのが印象的で、今までのノーラン作品の中では一番好きだなって思いました!

「ダンケルク」撮影中のクリストファー・ノーラン。

「ダンケルク」撮影中のクリストファー・ノーラン。

──そうなんですね。ちなみに本作で描かれる救出作戦はもともとご存知でしたか?

史実としては知っていました。イギリス人がよく使う“ダンケルクスピリット”というフレーズがきっかけですね。私は父方がアメリカなのですが、アメリカ人は第2次世界大戦は真珠湾で始まったと思っているところがあるからか、ダンケルクのことを学校でしっかり勉強するわけではなくて。民間の船が使われたとか、そういう重要なことは意外と知りませんでした。

──「ダンケルク」の特徴に、劇中でほとんど血が流れない、敵が登場しないなどがあります。戦争を題材にした映画としては少し異質ですよね。

戦争映画だけど、勝利や敵を全滅させることが目的なのではなく、脱出や救出するための物語がミクロに描かれていました。「この世界の片隅に」などもそうですが、話を小さくすればするほど、「この出来事があったから今があるんだ」と現在と地続きのように感じられるのかなと思います。

誰もが感情移入できるユニバーサルな物語

──イギリスの物語を描くにあたって、ノーランのこだわりの1つに、主要キャストを同国の俳優で固めるというのがあったそうです。劇中で、アメリカ育ちの市川さんから見て、イギリスならではだなという印象のシーンはありましたか?

お茶を飲んでいる場面がたくさんあったのはイギリスっぽかったですね。危機的な状況でもそういうことを大切にする文化なんだなと思いました。それと、(マーク・ライランスが演じる)ドーソンさんのセーターの着こなしも!(笑) 同時にすごくユニバーサルな表現もあって、誰もが感情移入できるという絶妙さを感じました。ダンケルクの史実はイギリス人にとって特別ですごく意味のある出来事だからこそ、作るにあたっては気を付けなきゃいけないところがたくさんあったと思うんです。

──劇中では、陸は1週間、海は1日、空は1時間と時間軸の異なる3つのエピソードが交錯していきます。

もっとも(経過時間が)短い空のパートも、陸と同じボリュームで描かれますよね。普通の時系列の中で描いたら、空のところはきっとすごく小さな役割になってしまう。それをほかのパートと同じくらいの扱いにすることによって、いかに空の役割が重要だったのかを観客にわからせる手法なんだなと感じました。

「ダンケルク」

「ダンケルク」

──「ダンケルク」は“言語に頼らず映像だけで物語を描き出すこと”を狙いとして作られた映画で。実際のダンケルクで撮影を行うだけでなく、戦闘機にIMAXカメラを乗せて飛ばしたり、イギリスのダンケルク協会が保全している民間船を借りたりと細部に至るまでこだわり抜かれているそうです。

個人的にはCGを多用した作品があまり好きではないので、本物にこだわって細かく描かれているのはノーラン作品の好きなところだなと思います。そういうアプローチで撮られた作品だからこそ、観ていてリアリティを感じられるんでしょうね。