アニメ「有頂天家族2」PR

「有頂天家族2」

「有頂天家族2」

森見登美彦インタビュー

狸、天狗、人間の狂乱、再び。
新キャラ続々登場の第2部を原作者が語る

久米田康治がキャラクター原案を務めるアニメ「有頂天家族」の2期「有頂天家族2」の放送が、4月9日にスタートする。2013年放送の1期から、4年ぶりとなる新作だ。アニメ2期は、森見登美彦による小説の第2部「有頂天家族 二代目の帰朝」を原作としている。

コミックナタリーでは放送を前に、京都・下鴨神社にて森見にインタビューを実施。1期の振り返りから、久米田によるキャラクター原案についての印象、自身の執筆裏話、2期に期待するところなどをたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 坂本恵
撮影 / 日吉"JP"純平

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アニメ「有頂天家族2」
「有頂天家族2」
放送情報
  • TOKYO MX:2017年4月9日(日)より毎週日曜22:00~
  • KBS京都:2017年4月10日(月)より毎週月曜20:00~
  • サガテレビ:2017年4月12日(水)より毎週水曜25:55~
  • KNB北日本放送:2017年4月13日(木)より毎週木曜26:29~
  • AT-X:2017年4月10日(月)より毎週月曜24:30~
配信情報
  • dアニメストア:2017年4月11日(火)より毎週火曜日12:00~
スタッフ / キャスト
スタッフ
  • 原作:森見登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」(幻冬舎)
  • キャラクター原案:久米田康治
  • 監督:吉原正行
  • シリーズ構成:檜垣亮
  • キャラクターデザイン/総作画監督:川面恒介
  • 美術監督:竹田悠介、岡本春美
  • 音楽:藤澤慶昌
  • 音楽制作:ランティス
  • アニメーション制作:P.A.WORKS
  • 製作:「有頂天家族2」製作委員会
キャスト
  • 矢三郎:櫻井孝宏
  • 矢一郎:諏訪部順一
  • 矢二郎:吉野裕行
  • 矢四郎:中原麻衣
  • 弁天:能登麻美子
  • 母(桃仙):井上喜久子
  • 赤玉先生:梅津秀行
  • 金閣:西地修哉
  • 銀閣:畠山航輔
  • 海星:佐倉綾音
  • 淀川教授:樋口武彦
  • 二代目:間島淳司
  • 玉瀾:日笠陽子
  • 呉一郎:中村悠一
  • 天満屋:島田敏
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森見登美彦インタビュー&用語集

ぼんやり思い描いていた風景に形が与えられた、弁天が鯨と戯れるシーン

──アニメ「有頂天家族」の1期は2013年に放送されました。まずは振り返ってみて、ご自身の文章がイメージ通りのアニメーションになったシーンがあれば教えてください。

僕は小説を書くときに、あんまりきっちりと厳密に映像みたいなものを思い浮かべて書くタイプではないので、「イメージ通り」というのとはちょっと違うんですけど。でもやっぱり、京都の空気感とかは全編にわたって、自分が日常で見ていた京都の風景みたいなものをすごくちゃんと切り取ってもらっていたので、そこはとても感動しました。あとシーンを挙げるなら、弁天が鯨の尻尾を裸で引っ張るという、わけのわからない場面があるんですけど。

──アニメだと第3話、嵐の中で裸の弁天が鯨と戯れるシーンですね。

アニメ「有頂天家族」第3話より、嵐の中、裸で鯨と戯れる弁天。

アニメ「有頂天家族」第3話より、嵐の中、裸で鯨と戯れる弁天。

あれは単に「鯨の尻尾でも引っ張りたいな」と思ったから書いただけで、お話的にはそのシーンが後から伏線になってものすごく効いてくるというものでもない(笑)。アニメにするときにわざわざ描かないという選択肢もあるわけです。でもそこにすごく力を入れて映像化されていたのには、やっぱり感動しましたね。またあのシーンは、京都の現実の風景からはちょっとズレたところの場面だったので、自分のぼんやり思い描いていた風景みたいなものに形が与えられた、というか。

──とても神秘的でした。

まあでも、難しいんです。文章で表しているイメージとアニメのイメージが一致するということは、本来はないというか、別々のものだと僕は思っているので。だから僕が正解を持っていて、それをアニメにするという感じではなくて、(吉原正行)監督が僕の原作を解釈して作った映像に僕も心打たれる、という。おそらくは監督が小説を「どう読むか」ということがアニメの中心になっているんだろうと。しかし監督は、自分がどう読んだかということをわかりやすく表には出さない人なんですよ。裏ではものすごくいろんなことを計算されているのに。そこが、僕は非常に好きなところです。

──1期制作の前に、監督とお話されるようなことはあったんでしょうか?

いえ、事前に「こういうふうにしたいと思いますけど、森見さんはどうですか」っていうやり取りはなくて。監督やスタッフの方々で原作を読み込んで、そこから読み取れることでやろうとしてくださっていて。だから僕は本当に、皆さんが悩みに悩んだ挙句どうしようもないことしか聞かれなかったですね。それもほとんど無意味な、悩みすぎてどう考えてもわからないからというようなことが多くて。僕も「ノリで書いたので特に意味ないです」みたいな返答で(笑)。こういう、監督が責任を持って原作を読むというのは、僕がすごく好きなやり方だなあと。

──では、2期も同じようなスタイルで?

そうですね、さりげないやり取りしか思い出せないです。シナリオやコンテのチェックも一応目は通しますけど、単純な間違い以外、僕からこう直してほしいみたいなことは基本的に言わないです。

森見登美彦

森見登美彦

「なんにも書いてないんだもん」って久米田さんに怒られました

──久米田康治さんによるキャラクター原案についても感想を伺えればと思います。森見さんの小説は見た目の描写があまりないので、イラストを見ると新鮮な気持ちになります。

それ、1期のときに久米田さんに怒られましたからね。「なんにも書いてないんだもん」って(笑)。

──たぶんデザインを描く側からすると、原作から手がかりを探しているんでしょうね。

そうなんですよ。監督も久米田さんが最初にデザインを起こしてくれるから、すごく助かるっておっしゃってましたけど。最初なんにもないところから作るのが全部久米田さんなので、怒ってましたね(笑)。具体的に書いてないって。小説だと、書かなくても支障がないわけですよ。別にその人がどんな格好してるかとかって意外とどうでもいい。

──私は小説の第1部を2007年の発売当初に読んだとき、あまりビジュアルのイメージは浮かばなかったんですけど、アニメを見てから第2部を読んだときはアニメの絵で脳内再生されました。

僕もそうで(笑)。これがなかなか困ったことと言うか、なんというか。「有頂天家族」では狸が人間に化けますけど、小説だと人間の姿と狸の姿が二重写しのように表現できるんです。小説の利点というのは姿を無視しても言葉だけで成り立つところなので。

アニメ「有頂天家族2」PVより、矢三郎の狸の姿。

アニメ「有頂天家族2」PVより、矢三郎の狸の姿。

──なるほど。確かに読んでいる側からすれば、例えば矢三郎がしゃべっているとき、「今これは狸の姿か? 人間の姿か?」というのは特に意識していない気がします。

そのときそのキャラクターがどんな姿をしているのか、というのをあんまり気にしすぎると、そういった二重写しの書き方ができなくなっていくんですよ。そうするとだんだん無茶ができなくなるというか、お行儀がよくなっていっちゃうんですね。