夜麻みゆき「刻の大地」PR

「刻の大地」緒方恵美

「刻の大地」

未完の癒し系ファンタジーが再始動!
ジェンド役・緒方恵美が喜びを語る

夜麻みゆきのファンタジー作品「刻の大地」は、1996年から2002年にかけて月刊少年ガンガン、月刊Gファンタジー(ともに現スクウェア・エニックス)で連載され人気を博しながら、夜麻の体調不良により未完のまま連載終了を迎えた。それから15年後の2017年6月、夜麻が「刻の大地」を再開するためのクラウドファンディングを実施すると、ファンを中心に支援の声が巻き起こり、すぐに目標金額を達成。この10月よりスマートフォン向けアプリ・メディバン マンガほかにて「刻の大地」の続編連載がスタートした。

コミックナタリーでは、「刻の大地」のドラマCDやOVAでメインキャラクターのひとり・ジェンド役を務めた緒方恵美にインタビューを敢行。「刻の大地」の支援にいち早く名乗りを上げ、また自身もクラウドファンディングで夢を実現させた経験を持つ彼女に、作品やキャラクターへの思い入れを聞いた。

取材・文 / 鈴木俊介
撮影 / 新妻和久
ヘアメイク / 杉浦なおこ

メディバン マンガ
メディバン マンガ

「刻の大地」をはじめ、300作品以上の人気マンガが基本無料で読めるスマートフォン向けアプリ。「刻の大地」の続編も連載中。

「刻の大地」 作品紹介

あらすじ

人と魔物(モンスター)が争う、混沌とした世界オッツ・キイム。
かつて勇者ザードにより倒されたはずの邪神竜ディアボロスが復活し、魔物たちは凶暴化して再び人間を襲うようになっていた。

それから3年後……。
ザードの友人である聖騎士カイは、彼が理想としていた「人間と魔物の共存」が可能なのか、その答えを求めて旅を続けていた。
その道中、魔物と心を通わせる不思議な少年・十六夜(いざよい)と、ディアボロスにより滅ぼされた種族“ダークエルフ”の生き残り・ジェンドと出会ったカイ。
いつしか旅の仲間となった3人は、それぞれの目的のため、ディアボロスの居場所を探す旅に出る。

「刻の大地」のイラスト。

「刻の大地」のイラスト。

人物紹介

  • 十六夜

    動物や魔物とすぐ仲良しになってしまう不思議な少年。自分の家がどこだか忘れており、ジェンドにくっつきながら故郷を探している。

    十六夜
  • ジェンド

    ダークエルフの生き残り。仲間を滅ぼしたディアボロスを倒すため旅をする。歯向かうものは容赦なく切り捨てる、乱暴で冷徹な性格。

    ジェンド
  • カイ

    ある国の騎士団で部隊長を務めていた実力派の聖騎士。とある目的のため黙って国を出て、ひとり旅を続けていた。女好きの軟派男。

    カイ

緒方恵美インタビュー

ジェンドは男の子だと思ってたから、びっくり

──今日はご自宅から、「刻の大地」の単行本やドラマCDまでご持参いただきまして、ありがとうございます。

緒方の私物であるドラマCDや単行本。

緒方の私物であるドラマCDや単行本。

発掘してきました。OVAもどこかにあると思うんですけど、ちょっと見つけられなくて……。出てきてもVHSなので、今となっては観られる環境がなかなかないんですが。

──最後にジェンドを演じられたのは、「刻の大地」のドラマCDが発売された1999年でしょうか。緒方さんって、ご自身の出演作を見返すことはあるんですか?

ほとんどないです。もちろん最初のオンエアや、作品が届いたばかりのときに1度は聴きますが、後から見返すのは時間もないし……たまたま出演作の再放送を見かけたりすると、死にそうな気持ちに(笑)。当時のスタッフさんががんばっていらっしゃるのはすごいなと思って見ますが、自分の昔の演技の直視は、勇気も必要で(笑)。

──そんな中、インタビューの前にドラマCDを聴いていただきましたが、およそ20年前のジェンドの演技を聴かれていかがでしたか。

最初は下手すぎて聴けたものじゃないんじゃないかとおびえていたんですけど、お話の内容が楽しいから、「アホだなー」と思わず吹き出してしまいました。すごく楽しい作品だったし、みんながニコニコしている現場だったんですよ。伊藤美紀さんの十六夜がとにかくかわいかったし、関わっているチームのみんなもこの作品を「すごく好き」と言っていて、「次のCDが出ます」と言われるたびに「やった、またやれる!」と喜んで。カイ役の関智一くんだけは、歌を歌わなければいけなかったので「大変だ!」と言っていましたが、口ではそう言いつつも、彼も楽しんでいたと思います。

緒方恵美

緒方恵美

──緒方さんは「刻の大地」のどんなところが「すごく好き」だったんでしょう?

なんというか……温かい作品じゃないですか。私はジェンド役だったので、しょっちゅう「殺す!」と怒ってばかりいたんですけど(笑)。でもジェンドも怒っている一辺倒ではないし、「モンスターがかわいそうだよ」と言っている十六夜もそれ一辺倒ではない。絶妙なバランスの3人が一緒にいることによって、さまざまなドラマが生まれていく。王道なファンタジーでありつつ、癒やされるとか、切ないとか、ドキドキするとか、そういうのが詰まっている作品。最近のマンガが駄目というわけではもちろんないんですけど、昔のマンガって今よりストレートなところがある気がして、読んでいて何かを考えさせられるというか、胸に刺さるものがあるんですよね。「刻の大地」のセリフにも、ハッとさせられることがたびたびあって。そういう作品は今読んでもやっぱり面白いです。昔ながらのファンの方はもちろんですけど、無料のアプリでも読めるということですし、この機会にたくさんの人に知ってもらえたらうれしいですよね。

「刻の大地」1巻の表紙イラスト。

「刻の大地」1巻の表紙イラスト。

──「刻の大地」42話で、ジェンドが実は女性だったということが明かされるじゃないですか。緒方さんはそのことを最初からご存知だったんですか?

いや、全然(笑)。はるか昔なので記憶は定かじゃないですけど、最後の1本を収録するときにそれを聞かされて、「えー!?」ってびっくりしたように思います。それまでは完全に男の子だと思ってやっていたので、さすがに軌道修正はできなかったですね。マンガを読んでいても、そんな気配はかけらも読み取れなかったです。カイもびっくりしただろうなあ。

「刻の大地」42話より。

「刻の大地」42話より。

──緒方さんと言えば、「幽☆遊☆白書」の蔵馬、「美少女戦士セーラームーン」のセーラーウラヌスなど、中性的なキャラをたくさん演じていらっしゃいましたから、そうしたことを踏まえてのキャスティングだったのかもしれませんね。

確かに、当時はそういう役が多かったです。正統派で中性的な美青年や美少女役。少年や青年の役は今でも演らせていただけていますが、時代の流れでだんだん移行し、2010年代に入ってからはなぜか中二病的な役ばかりオファーをいただきます(笑)。「Angel Beats!」の直井をはじめ、「めだかボックス」の球磨川とか、「ダンガンロンパ」の狛枝とか……現在進行形で中二病?(笑)

──ジェンドを演じるときは、どんな部分に気を遣っていらっしゃったのでしょう。怒っていることが多いキャラクターですが、共感できる部分はありましたか?

常にイライラしていますからね(笑)。ただ、そういう心理状態になることは誰しもあると思いますし、記憶がなくて自分のことがわからないとか、そういうのも含めてヒリヒリしているところがある人なんだろうなと思って、そのヒリヒリ感をストレートに出そうとしていました。私はどのキャラクターも、自分の中の気持ちを何かしら引っ張り出してきて演じるので、みんながみんな自分の分身みたいな感じなんです。完全に別人になるというのは無理ですし、自分の中から気持ちを探してこないと、真に迫ったものにならないじゃないですか。自分にもある感情を探してきて、このキャラクターはこうかな、こうかなと、そのキャラクターの年齢まで自分の感情を下げたり、上げたり。そうして出てきたものを、ストレートに表現しています。ジェンドも、私の一部でした。

緒方恵美

緒方恵美

夜麻先生のファンの1人として感慨深いです

──夜麻みゆきさんが「刻の大地」の連載再開を目指してクラウドファンディングをされるというニュースは、コミックナタリーでも大きな反響がありました(参照:「刻の大地」連載再開へ、夜麻みゆきがクラウドファンディングを開始)。緒方さんもご自身のTwitterで反応されていらっしゃいましたよね。

ちょうどその時期、私もCAMPFIREさんでクラウドファンディングをさせてもらっていたんです。ありがたいことに国内では目標額1000万円を90分で達成しまして、さらに2週間以上を残して用意していたリターン品がすべてなくなってしまい、後半はのんびりさせていただいていたんですけど(笑)。その関係でCAMPFIREさん関連のニュースを目にする機会が多かったんですが、ニュースを見て「この絵柄は!」とびっくりしたのを覚えています。ページを見に行ったらやっぱり夜麻先生のプロジェクトだったので、即日支援をさせていただきました。

緒方恵美

緒方恵美

──緒方さんにはクラウドファンディング経験者としてのお話も伺いたいのですが、そもそも緒方さんがクラウドファンディングを始められたきっかけは?

2017年が声優デビュー25周年の年なので、何かしたいなと思っていて。そこに「アルバムを作ろう」とお話をいただいたのですが、いつものやり方で、いつもの方々に向けてリリースするだけでいいのだろうかと考えたんです。大きな理由のひとつは、海外にいるファンにも届けたいということ。何かを発売するたびに、海外の方から「それはどこで買えますか?」というメッセージをいただくんですが、応えることができないという状況が続いていて。

──普通にリリースするだけでは、海外の方に届けられないと。

ええ。マンガは比較的届くようになってきたかと思うのですが、音楽CDやアニメーションのDVDは正規の販路がまだ十分ではなくて。日本のECサイトで買ってもらうこともできるんですが、送料や税金ですごく高くなっちゃったり、日本名義のクレジットカードじゃないと使えなかったり。有料配信チャンネルはあっても、やれる国も少ないし、契約している人も多くはない。結果的に商品が買えない、観られないから、違法アップロードだったり海賊版だったりを手に取る方が多くて……。

緒方恵美

緒方恵美

──正規の入手ルートがないために、海賊版がまかり通ってしまうわけですね。

今回はせっかく記念のアルバムだし、なんとか届けたいなと考えた。流通の壁を私ごときが破るのは不可能ですけど……、クラウドファンディングのリターンという形であれば、寄付していただいたお礼をお渡しするだけなので、関税もなんも関係ない。これなら届けられるのではないかと思いついたんです。仲のいいプロデューサーに相談したら「それはいいね!」と背中を押してくれて、実施できることになりました。そのアルバム「アニメグ。25th」が先日発売されたんですけど、海外からも「届いてるよ!」って報告をたくさんもらって……。それがとてもうれしかったですね。

──クラウドファンディングの可能性を、ご自身で体感されたと。

“クール・ジャパン”なんて言われて久しいですけど、その実態はまだまだガラパゴスですし、違法配信によって制作側が困窮するようなことも起こっている。クラウドファンディングのページにそうした現状を書くことで、日本の皆さんにもそのことを知っていただけたらという願いもありました。25年もやってきたので、そのくらいのことを言っても、まあ許されるだろうと(笑)。

──(笑)。一方の「刻の大地」も、夜麻さんの「続きを描きたい」という思いがクラウドファンディングを通じてファンの方に伝わって、目標を達成。2017年に「刻の大地」の新作が読めることになりました。

「刻の大地」のイラスト。

「刻の大地」のイラスト。

先生がチャレンジをされたというのが、まずすごいことだと感じます。世の中が全部クラウドファンディングで……ってなっちゃったら、それはどうかなと思いますけど、でも、支援したいという人の気持ちやお金がちゃんと創作者に届いて、そのおかげで続きが読めるのはすごいこと。私も夜麻先生のファンのひとりとして、感慨深い気持ちでいっぱいです。

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