冬目景「空電ノイズの姫君」 / 玉置勉強「彼女のひとりぐらし ツーアウト満塁」PR

冬目景「空電ノイズの姫君」 / 玉置勉強「彼女のひとりぐらし ツーアウト満塁」

冬目景「空電ノイズの姫君」
玉置勉強「彼女のひとりぐらし ツーアウト満塁」

同じ漫研出身! でも作風はまったく異なる2人が“あの頃”と互いの最新作を紐解く

始まりは「ギターのうまい女の子を描きたい」

──ここからはおふたりの新作についても伺っていければと思います。「空電ノイズの姫君」は、もともとバンドものを描こうというところから始まったんでしょうか?

冬目 うーん、バンドものというよりは磨音と夜祈子、2人の女の子の友情というか関係性を描きたいというのが軸ですね。もともと磨音のキャラクターは、「ギターのうまい女の子を描きたいな」と、けっこう前から短編用に温めていて。

「空電ノイズの姫君」より。早朝、磨音は教室で歌を歌っていた転校初日の夜祈子と遭遇する。©冬目景/幻冬舎コミックス

「空電ノイズの姫君」より。早朝、磨音は教室で歌を歌っていた転校初日の夜祈子と遭遇する。©冬目景/幻冬舎コミックス

玉置 冬目さんって、バンドとか楽器をやってたことあるんでしたっけ。

冬目 ちょっとだけ。中学のときにフォークギターを始めて、高校でエレキギターを弾くようになったんですけど、美大を目指すにあたって忙しくなって。うまくならないうちにやめちゃったんですけど。

玉置 オリジナルを作るとかじゃなくて、コピーを?

冬目 ええ。音楽系の部活にも入っていたんですけど、先輩に「これコピーして」って言われたThe Beatlesとかを言われるがままに練習してました。当時は自分の好きな曲を弾きたいというよりは、ギターが弾きたい、ギターがうまくなりたいという一心で。ギターを弾かなくなってしばらく音楽もそんなに聴かなくなってしまったんですが、数年前にまた音楽熱が再燃したんです。

玉置 何かきっかけがあったんですか?

冬目 あるバンドが好きになって、音楽を聴くという日常が戻ってきたんです。それからはYoutubeを観ては、気に入ったバンドのCDをせっせと買うようになって。主に洋楽なんですけど、昔のバンドから今のバンドまでいろいろ聴きあさるようになりましたね。そんな状況もあって、連載のお話をいただいたタイミングで、磨音のキャラクターを引っぱり出してきたんです。

玉置 「空電ノイズ」の1巻で、磨音ちゃんが大学生に誘われて、アルタゴというバンドに加入するじゃないですか。これってバンドにモデルはあったりします?

「空電ノイズの姫君」より、アルタゴの高瀬と日野は、ギタリストを探し磨音と出会う。©冬目景/幻冬舎コミックス

「空電ノイズの姫君」より、アルタゴの高瀬と日野は、ギタリストを探し磨音と出会う。©冬目景/幻冬舎コミックス

冬目 そういうのはないんですよね。描きたいバンドのイメージとしてはボーカル、ギター、ベース、ドラムというシンプルな編成で、若いけどクラシックなロックが好きな人たち。これは自分の好みですね。音や声は勝手に読者に想像してもらえたらいいな、と。

玉置 僕は音は想像しないで、絵から雰囲気を味わって楽しんで読ませてもらいました。今、趣味でバンドをやってるんですけど、登場人物を見てると「ああ、バンドマンってこういう人いるよなあ」と思いますね。「連絡が取れなくて、家に行ったら寝てた」っていうアルタゴの高瀬くんなんてリアルにいそう(笑)。

楽器の作画はバンドものの鬼門

冬目 玉置くん、バンドやってるんですね。

玉置 僕の場合は冬目さんと違って、学生時代に楽器をやったことはまったくなくて。30代後半から始めたんですよね。

冬目 どういうきっかけで?

玉置 そんなに量は聴いてこなかったんですけど、音楽はずっと好きで。聞く側一辺倒だったのが、30代になってふと「演奏する側になってみたいな」と思ったんです。そこから、ホントに下手くそなんですけど、1人でちびちび曲を作りはじめて。Ustreamで誰も聞いてないような朝方に弾き語りをしていたんです。それを観た知り合いが「バンドでやってみないか」と誘ってくれて。彼はドラムだったんですがベースができる人を探して、3人でやることになったんです。冬目さんは、今はギター弾かないんですか?

冬目 自分でもう1回ギターを弾こうとはあまり思ってないですね。

玉置 「空電ノイズ」は長く音楽業界にいるプロから、これからの若者までいろんな層のバンドマンが出てくるのがいいですよね。

冬目 主人公が高校生だからって、高校生の中だけのお話にしちゃうのもどうかなと思って。私がやろうとしているのが、学生だけの青春ものじゃないってことなのかもしれないんですけど、大人も入れないと描きづらいんです。

玉置 楽器のサイズ感がすごく正確だとも思いましたね。磨音ちゃんはちっちゃいから、普通のギターでもやけにでかい。彼女がギターを抱えたときのバランスをすごく気にして描いてるんだろうなと。

「空電ノイズの姫君」より、おもむろにアコースティックギターを弾く磨音。体の小さな磨音に併せ、ギターは大きめのサイズ感で描かれている。©冬目景/幻冬舎コミックス

「空電ノイズの姫君」より、おもむろにアコースティックギターを弾く磨音。体の小さな磨音に併せ、ギターは大きめのサイズ感で描かれている。©冬目景/幻冬舎コミックス

冬目 私も小柄なほうなので、ギターを持ったとき「でかい!」と思いましたからね。磨音がギターを持ったときのスケール感は自分が基準になってます。

玉置 磨音ちゃん、ちゃんとギターうまそうに見えますよね。ギターを弾いてるときのたたずまいにそう感じさせるものがあります。

冬目 あまりうまそうに見えない人が、実はうまかったら面白いかな、という狙いはありましたね。ちっちゃい子がでかいギター持ってゴリゴリに弾きまくったら意外性あるでしょ。だから髪型もふわふわのくせっ毛で、あえてロックっぽくない感じにしていて。

玉置 アルタゴのメンバーが「ギターがうまい子がいる」って紹介されて、最初に磨音ちゃんに会ったとき「この子が?」みたいな反応になるのも当然ですよね。こういうことってまさに現実でもありそう。もう1人の主人公の夜祈子は歌がうまいという設定になってますが、これから彼女も音楽をやることに?

冬目 そのうちバンドのほうにも関わっていくことになると思います。磨音が中心ではありますが、2人が主人公の物語だと思って描いているので。それにしても音楽ものって楽器を描くのが、すごくつらいです。始めるときもそこが一番のネックだと思ってたんですが。特にドラムセットとかめんどくさい、絶対描きたくないと思ってて(笑)。

「空電ノイズの姫君」第1話より。「夜祈子は最悪の女だった」とのモノローグが添えられている。©冬目景/幻冬舎コミックス

「空電ノイズの姫君」第1話より。「夜祈子は最悪の女だった」とのモノローグが添えられている。©冬目景/幻冬舎コミックス

玉置 これからどんどん描かなきゃならない展開になってるじゃないですか。

冬目 しょうがないから描きますけど。玉置くんこそ、現役でバンドをやってるわけですし、バンドマンガを描こうと思ったりはしないんですか?

玉置 いや、楽器を描くのはめんどくさいんで。

冬目 やっぱり(笑)。

「空電ノイズの姫君」より、父のスタジオを訪れた磨音。©冬目景/幻冬舎コミックス

「空電ノイズの姫君」より、父のスタジオを訪れた磨音。©冬目景/幻冬舎コミックス

玉置 楽器の資料なんかはどうしてるんですか?

冬目 ギターをいっぱい持ってる知り合いのデザイナーさんに写真撮らせてもらったり。見てる分には楽しいですよね。ギターは何本くらい持っているんですか?

玉置 アコースティックとエレキ合わせて3本ですね。

冬目 ライブ映像を見ているとこういうカッコいい感じ、どうやったら絵にできるのかなあと考えちゃうんですよね。あ、このアングルいいなとか。玉置くんはライブ活動もしたり?

玉置 はい。あの……CDもあるんですよ。一応持ってきたんですけど……(所属バンド・砂利道のCDをバッグから出す)。恥ずかしいなあ……。

冬目 えっ、なんで(笑)。くださいよ。でもCDまで出すなんてすごいですね。

玉置 ライブハウスの店長が気に入ってくれてレコーディングまでしてくれて。たまたま周りに恵まれてCDを作るとこまでいっちゃったんです。

冬目 これ、ライブ会場で売ったりするんですか?

玉置 そうです。outbreak recordsっていう、ライブハウスのレーベルから出てて、Amazonでも扱いがあります。発売当初はタワレコで試聴機に入れてもらったりしたんですよ。

冬目 へえ、作詞作曲も玉置くんが?

玉置 はい、作詞作曲でギターボーカルです。すごい下手なんですけどね。

「空電ノイズの姫君」より、磨音と夜祈子のカラーカット。©冬目景/幻冬舎コミックス

「空電ノイズの姫君」より、磨音と夜祈子のカラーカット。©冬目景/幻冬舎コミックス

冬目 今度取材させてくださいよ。「空電ノイズ」でもこれからライブハウスに出演して……、っていう部分を描いてきたいと思っているから、今のライブハウスがどうなっているのか知りたいです。

玉置 あんまりネタを提供できそうな気はしませんけど。僕たちいい大人の社会人バンドだから、「昼間は練習できない」とか、「平日にライブが入ると有休取らなきゃ」とか、「空電ノイズ」の世界と違うおじさんバンドの苦労話になっちゃいそう(笑)。

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